写真●米ストラタシスのリチャード・ガリティ氏(バーティカル・ソリューション事業部ヴァイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー)
写真●米ストラタシスのリチャード・ガリティ氏(バーティカル・ソリューション事業部ヴァイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー)
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 「3Dプリンターによって、新たなビジネスの可能性を提供する」。3Dプリンター大手、米ストラタシスのリチャード・ガリティ氏(バーティカル・ソリューション事業部ヴァイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー)は2015年8月27日、記者会見の場でこう話した(写真)。

 これまで3Dプリンターは試作品の作成に使われることが多かった。その需要に加え、近年は完成品の作成に用いられることも増えたという。金型を製作せず、設計データから3Dプリンターで直接生産する「DDM(ダイレクト・デジタル・マニュファクチャリング)」と同社が呼ぶ分野だ。

 「もちろんすべての生産がDDMに置き換わることはない。しかし、DDMにしかできないビジネスが可能になる」とガリティ氏は話す。

 例えば、金型を作っていては採算が合わないような少量生産の製品だ。個人によって最適な形状が変わる製品などを生産しやすくなる。「既に、顧客の耳の形状に合わせてカスタマイズしたイヤホンを3Dプリンターで生産して販売する事業者も出てきた。カスタム製品の大量注文にも応じられるようになった」(ガリティ氏)。

 このほか、注文がいつ入るか読みにくい保守部品をDDMで作れば、在庫や金型を保有する必要がなくなり、コストを抑えやすい。3Dプリンターを前提とすれば、サプライチェーンの在り方も変わるという。「3Dプリンターの新たな活用を支援するため、業種ごとの専門チームを作った。技術と業種の専門性で、顧客を支援していく」(ガリティ氏)。

 同日、日本法人のストラタシス・ジャパンは、DDMサービスの事業化支援プログラムを発表した。ストラタシス製の3Dプリンターを使ってDDMサービスを始める事業者は、ストラタシス・ジャパンから材料の無償提供と技術支援を受けられるというものだ。「日本のDDM市場を本格的に立ち上げる」と片山浩晶代表取締役社長は意気込む。