写真●清水建設が実証実験で使う、東芝の腕時計型端末「Silmee W20」
写真●清水建設が実証実験で使う、東芝の腕時計型端末「Silmee W20」
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 清水建設と東芝は2015年8月25日、清水建設の三重県四日市市の建設現場で働く作業員の体調を、24時間見守る実証実験を始めた。リストバンド型生体センサー「Actiband」「Silmee W20」を用いる(写真)。屋外で働く1人ひとりの作業員が自分の体調を客観的なデータで把握し、安全に作業を進められるよう支援する。実験は2016年8月24日までの1年間実施する。

 今回の実証実験で用いるリストバンド型センサーは、体温や心拍といったバイタルデータに加えて、睡眠、食事、活動量などのライフログデータを計測できる。作業員はリストバンドを24時間装着して作業時以外のデータも計測し、自分のスマホで体調を客観的に把握できる。加えて今後、現場管理者がタブレットや職場のPCで作業員のデータを管理・閲覧できるシステムを開発し、作業員の体調に合わせて作業量を調整できるようにする予定だ。

 清水建設は、作業環境の改善とともに、センサーと通信技術を用いて作業員の状況を把握し管理することで、安全性や品質、生産性の向上を目指す。また東芝は、生体センサーで収集する様々なデータを解析し、安全性の向上、健康増進、病気予防など幅広く活用することを目指している。

 建設業は屋外作業で熱気や直射日光を受けやすく、作業員の熱中症のリスクが高い。厚生労働省によると2014年の職場における熱中症の業種別死傷者数は、5年続けて建設業が最多となっている。この状況を受けて建設業では、生体センサーを利用した作業員の体調管理システムの導入が始まっている。

 大林組とNTTコミュニケーションズは2015年4月から、東レが開発した機能性繊維「hitoe」を採用した肌着を使った体調管理システムの実証実験を開始している。このシステムでは、hitoeで形成した電極の付いた肌着を着た作業者の心拍データを、胸部の送信機を介して管理システムへ送信し解析する。解析結果は作業者本人のスマートフォンや現場管理者の端末に表示され、リアルタイムでアラートも通知できる。

■変更履歴
記事公開時、「Actiband」「Silmee W20」の名称が正しくありませんでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2015/08/26 21:00]