図1●vSMPアプライアンスサービスの概要(出典:スケーラブルシステムズ)
図1●vSMPアプライアンスサービスの概要(出典:スケーラブルシステムズ)
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図2●vSMP Foundationの概要(出典:スケーラブルシステムズ)
図2●vSMP Foundationの概要(出典:スケーラブルシステムズ)
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 スケーラブルシステムズ(SSTC)は2015年8月19日、サーバーに大容量メモリーを割り当てられるようにするミドルウエア「vSMP Foundation」を月額制で提供するサービス「vSMPアプライアンスサービス」(図1)を提供開始した。月額制のサービスとすることで、初期導入費用は年額換算でライセンスを購入する場合の20%で済む。データ分析などの需要から個々の仮想サーバーに大容量メモリーを割り当てる必要があるクラウド事業者や社内クラウドなどに向く。

 vSMP Foundationとは、汎用のPCサーバーで構成したクラスターシステムをSMP(対称型マルチプロセッシング)イメージで利用できるようにする基盤ソフトである(関連記事:PCクラスターをSMP化する基盤ソフト、対応ハードを拡充)。それぞれがCPUとメモリーを搭載している複数のサーバー機を組み合わせるだけで、複数CPUと巨大なメモリー空間を持った単一のスケールアップ型サーバー機を構築できる(最大で128ノード、3万2768CPUコア、2Pバイトメモリー、図2)。クラスターを構成するサーバー機同士はInfiniBandで接続する。

 vSMP Foundationの特徴の一つは、メモリーの拡張が容易なこと。ノードを追加する際に、CPUを増やさずにメモリー容量だけを拡張できる。搭載できるメモリー容量が少ない安価なサーバー機でも、サーバー台数を増やせば全体のメモリー容量を増やせる。ビッグデータ分析など、メモリー容量を増やすことでメリットが出るアプリケーションに向く(関連記事:ビッグデータ分析は分散処理よりもSMPクラスターが良い)。

 今回のvSMPアプライアンスサービスは、vSMP Foundationのライセンスを購入する代わりに月額制で利用できるようにした製品である。個々のサーバーにインストールするvSMP Foundationのソフトウエアや、vSMP Foundationのライセンス管理機能など、vSMP Foundationの運用に必要になるソフトウエア一式を1Uラックマウント型サーバーにまとめたアプライアンス製品として提供する。これを利用したクラスターシステムの構築サービスと合わせて提供する。サーバークラスター(InfiniBand接続したサーバー機群)は、あらかじめユーザーが用意する必要がある。

 月額制サービスを1年間使った場合の費用は、ライセンスの購入費用の20%になる。これにより、ライセンスを購入するよりも初期費用を抑えてSMPクラスターを導入できる。また、ライセンス購入費用の20%という金額はライセンスの次年度以降の年間保守料と同じであるため、ライセンスを保守サービス込みで使い続けるのであれば、月額制サービスを利用したほうが初期費用を抑えられる分だけメリットがある。

 ライセンス購入費用は、CPUのスペックやメモリー容量に合わせてトークンを消費する形態をとる。CPUソケット当たりの費用は、5万1000円から20万4000円。メモリー当たりの費用は、32Gバイト当たり2万7200円(1Gバイト当たり850円に相当)。