図1●モバイル端末は複数のアプリケーションを同時に表示できないので、アプリケーションを統合しない限り、社員間のコミュニケーションが滞る
図1●モバイル端末は複数のアプリケーションを同時に表示できないので、アプリケーションを統合しない限り、社員間のコミュニケーションが滞る
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図2●チャットやコンテンツ共有などのデータをナレッジ化する仕組みを提供
図2●チャットやコンテンツ共有などのデータをナレッジ化する仕組みを提供
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写真●米ブロードビジョン社長兼CEO兼会長のピーホン・チェン氏
写真●米ブロードビジョン社長兼CEO兼会長のピーホン・チェン氏
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図3●電子メールと連携する機能も用意した
図3●電子メールと連携する機能も用意した
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 日本ブロードビジョンは2015年8月5日、複数のウインドウを表示できないモバイル端末においても社員同士が円滑に会話できるよう、チャットやコンテンツ共有などの機能を一つの画面に統合したコミュニケーションソフト「Vmoso」を発表した。8月下旬から販売する。企業向けエディションの価格(税別)は、1ユーザー当たり月額1300円。販売目標は初年度20社、3年後に300社。開発会社は親会社の米ブロードビジョン。

 Vmosoは、現在企業で使われている五つのコミュニケーション機能(メール、チャット、コンテンツ共有、ワークフロー、SNS)を一つに統合したソフト。Vmosoを開発した背景には、現状の企業において五つの機能がそれぞれ別ソフトとして動作しているという状況がある。パソコンの場合は複数のウインドウが同時に開くので別ソフトでもさほど問題はない。一方でモバイル端末の場合は同時に一つのソフトしか表示できないので、別ソフトのままだと社員間のコミュニケーションが停滞する(図1)。

 Vmosoでは、チャットやコンテンツ共有でやり取りされるメッセージやファイルなどのビッグデータをナレッジ(知識)に変える仕組みも提供する(図2)。まず、コミュニケーションのデータはすべて記録してあり、後から再利用や検索ができる。さらに、現状のメールなどの仕組みと異なり、データを他の複数の社員に伝える際に、データのコピーを一切作らずに済むアーキテクチャーを採用した。データをコピーする代わりに、データの所有者がデータへのアクセス権限を設定できるようにしている。単一のデータを複数の社員が参照する形である。

 Vmosoのデータ管理方法について米ブロードビジョン社長兼CEO兼会長のピーホン・チェン氏(写真)は、「ノイズとなる余計なデータがないからビッグデータをナレッジ化できる」とアピールする。これに対して、現状の企業は五つの機能がそれぞれコミュニケーションのたびに大量のコピーを生成しており、「ビッグデータではなくビッグガベージ(データの屑)を作っている」(ピーホン・チェン氏)という。

 単一のインボックス画面に、チャットやコンテンツ共有、ワークフロー手続きなど、すべての情報が表示される仕組み。Vmosoを用いたコミュニケーションの手段は、大きく分けてプッシュ型(相手を指定したチャットなど)とプル型(掲示板に質問を投稿して専門家が回答するといった使い方)の二つがある。

 「企業ユーザーは電子メールを好んでおり、電子メールを置き換えることは困難」(ピーホン・チェン氏)という背景から、既存の電子メールとの共存も図っている(図3)。Vmoso自身が簡易メールクライアントとして動作するほか、メールを介したデータの投稿やデータ投稿時のメール通知といったメール連携ができる。メールのCC(カーボンコピー)にVmosoの特定メールアドレスを含めることで、メールのあて先に含まれている社員全員が参加するチャットルームを開設するといった連携も図れる。