米Appleが通信事業者のインフラを借りて音声やデータ通信サービスをユーザーに提供するMVNO事業に参入する計画だとする報道に対し、同社が現地時間2015年8月4日に否定の声明を発表したと、複数の海外メディア(英Reuters米TechCrunchなど)が報じた。

 オンラインニュースサイトの米Business Insiderは8月3日に、Appleが米国でMVNOサービスをテストしており、欧州でも通信事業者と交渉中だと報じた。AppleがMVNOサービスを始めれば、iPhoneユーザーは音声およびデータ通信サービス料も直接Appleに支払うようになる。

 しかし翌日、Appleは声明で「我々はMVNOサービスの立ち上げを検討していないし、計画もしていない」と報道を否定した。

 米AT&Tや米Verizon、英VodafoneなどAppleと提携を結んでいるキャリアはほっとしていることだろうと、米Fortuneは述べている。Appleが対抗してくることは提携キャリアが最も望んでいないことだ。Fortuneの考えでは、AppleがMVNO事業に参入しても、得られるものはほとんどない。まず、iPhoneの販売に関して提携キャリアとの間に問題はなく、提携キャリアを遠ざける理由がない。またMVNOサービスを提供するとなると、ソフトバンク傘下の米SprintやドイツDeutsche Telekomの米国子会社T-Mobileといった大手キャリアからネットワークを借りることになるが、より高速でより安価なサービスを提供するのは難しい。さらに、通信トラブルがあった場合、Apple自身が矢面に立たなければならなくなると、説明している。

 一方で、米Googleは今年4月、モバイル通信サービス「Project Fi」を米国で開始し、MVNO事業への参入を果たした。Project Fiでは、100万カ所以上の公共Wi-Fiに、Sprint およびT-Mobileのネットワークを組み合わせ、状況に応じて接続を切り替える(関連記事:Google、米国で月額制モバイル通信サービス「Fi」を開始)。