写真●SAPジャパンの福田譲社長
写真●SAPジャパンの福田譲社長
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 「この1年間を振り返って、自己採点するならば70点。質・量ともに及第点は取れた」。SAPジャパンの福田譲代表取締役社長は2015年8月4日、記者会見の場で、2014年7月の社長就任後の1年間をこう総括した。

 「及第点」の根拠の一つが「日本法人のビジネスが好調」(福田社長)であることだ。2015年1-6月期の売上高は前年同期比で11%増。SAP全体の売上高の伸び率(9%増)を上回った。特に、クラウドビジネスの売上高の伸び率が高く、前年同期比152%増だったという。「クラウドビジネスは、絶対額ではまだ小さいが、SAP全体の伸び率が92%増であるのに比べて急激に伸びている」(福田社長)。

 このほか、この1年間で新卒の営業担当者14人を6カ月間米国で研修させた取り組みを紹介。公益事業統括本部や自動車産業統括本部といった、注力産業分野別の組織を設立したことも発表した。

 今後は、新製品の「SAP S/4HANA(関連記事:SAPが23年ぶりにERP製品を全面刷新、「HANA」を基盤にSaaS統合)」を中心に「IT主導のイノベーション」を顧客に訴求していく。「これまでは、ビジネスとしてやりたいことがあってもITが障壁になって実現できないことが、少なからずあった。今は最新ITによって、あれもこれも可能になった、と顧客に提示できる」と福田社長は言い切る。

 同時に、顧客のビジネス価値を重視する「Business Valueフォーカス」を徹底する。「ここ数年、当社の製品が技術的にいかに優れているかを強調しすぎていた。それも必要なのだが、今後は、顧客の経営者にとってどのような価値をもたらすかを伝えていく」(福田社長)。