写真●NEC取締役執行役員常務の川島勇CFO
写真●NEC取締役執行役員常務の川島勇CFO
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 NECは2015年7月30日、2015年4~6月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.0%減の5866億円、営業利益は同30億円減で101億円の赤字となった。製造業や流通業向けの「エンタープライズ」セグメントが増収だったが、通信事業者向けの「テレコムキャリア」セグメントが伸び悩み、減収減益となった。通期では、公共や流通・サービス業を中心に増加する受注案件を取り込み、増収増益を目指す。

 会見に臨んだ同社 取締役執行役員常務の川島勇CFO(最高財務責任者)は第1四半期の業績を振り返って「通信キャリアの投資抑制や、Windows XP更新需要の反動が想定よりも響いた」と話した(写真)。一方、国内のIT投資は好調に推移しており、受注ベースでは、ITサービス関連が前年同期比で16%増、PCやサーバーなども2ケタの伸びを記録しているという。

 好調だった「エンタープライズ」セグメントの売上高は、前年同期比25.5%増の683億円、営業利益は46億円増の28億円で増収増益だった。流通・サービス業向けや、製造業向けの大型案件が寄与した。一方、減収減益となった「テレコムキャリア」セグメントは、売上高が前年同期比5.6%減の1426億円。海外の海洋システムが好調だったが、国内の通信キャリア向けが減少した。営業利益は同76億円減で33億円の赤字となった。SDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)関連の投資費用が増加した影響」(川島CFO)だという。

 セグメント別に見ると、官公庁や公共向けの「パブリック」セグメントは減収減益。売上高は、前年同期比0.6%減の1455億円、営業利益は同21億円減で5億円の赤字となった。マイナンバー関連の需要取り込みが堅調に推移したが、前年にあった官公庁向けの大型案件の反動が響いた。

 各種ハードウエアを扱う「システムプラットフォーム」セグメントの売上高は前年同期比4.0%減の1602億円、営業利益は同23億円増の49億円で減収増益。サーバーは堅調に推移したが、企業向けPCが減少した。

 「その他」セグメントの売上高は、前年同期比12.4%減の701億円、営業利益は同21億円減で70億円の赤字となった。物流事業の日通NECロジスティクスの非連結化や携帯電話端末事業の売上減によるものだという。

 2016年3月期の連結業績予想は、売上高が15年3月期比5.6%増の3兆1000億円、営業利益は同69億円増の1350億円と据え置いた。川島CFOは「マイナンバー案件などの旺盛な需要などを追い風に、増収増益を達成したい」と話した。

■変更履歴
NECの2015年第1四半期決算「その他」セグメントの業績に関する要因の説明(第6段落)に間違いがありました。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。[2015/7/31 21:40]