ローソンと楽天が包括提携に向け最終調整に入ったことが日経ビジネス/ITproの取材で明らかになった。ポイント、物流、モバイル事業などで協業する。コンビニ業界とEC(電子商取引)業界の小売り大手同士が広範囲にわたって戦略的提携に踏み出すのは初めて。

 ローソン店舗で楽天が発行する「楽天スーパーポイント」の付与・利用を早ければ2016年夏にも開始し、全国のローソン約1万2000店舗で楽天が運営するEC(電子商取引)モール「楽天市場」の購入商品を2015年8月から順次受け取れるようにする。両社で新たに食品宅配事業も始めるほか、ローソン店舗で楽天モバイルの端末を受け取れるサービスも始める。今後も両社の提携内容は拡大する可能性がある。

 楽天は現在、「楽天スーパーポイント」の取り扱いでコンビニ業界4番手のサークルKサンクスと独占契約している。2016年6月に迎える契約満了後、ローソンで楽天スーパーポイントの付与・利用を始めたい考え。ローソンと楽天は会員からの許諾を得た上で、互いに顧客の購買情報の一部を共有する。現在、ローソンではグループ会社のロイヤリティマーケティングが発行する共通ポイント「Ponta」を取り扱っているが、2015年6月からNTTドコモのDCMX(2015年12月1日からはdカードに名称変更)の利用で割引サービスを提供しているほか、共通ポイント「ドコモポイント」(2015年12月1日からはdポイントに名称変更)を付与するなど、Ponta以外のポイントプログラムも受け入れている。ローソンと楽天は同様の仕組みで協業できると判断したもようだ。

 物流面では両社は段階的に協業を拡大していく。まず、2015年8月をめどに楽天市場の商品をローソン店舗で受け取れるようにする。当初は日本郵便による配送受け取りから開始、年内をめどに佐川急便にも対応する予定。楽天は既にヤマトホールディングスとの提携を発表しており、ファミリーマートやサークルKサンクスなど全国約2万店でのコンビニ受け取りが8月以降に可能になる見通しだ。利用する宅配業者にもよるものの、ローソンが加わったことで受け取り可能なコンビニの店舗数は約3万2000店舗に拡大する。