写真●富士通の塚野英博取締役執行役員常務CFO(最高財務責任者)
写真●富士通の塚野英博取締役執行役員常務CFO(最高財務責任者)
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 富士通は2015年7月30日、2015年4~6月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比0.3%減の1兆651億円、営業損益は前年同期の73億円の黒字から346億円悪化し、273億円の赤字に転落した。ネットワーク事業が低調だったのに加え、Windows XPの買い換え需要が一巡したPC事業が伸び悩み、売り上げと利益の両面に影を落とした。2016年3月期の通期業績予想は、売上高4兆8500億円、営業利益は1500億円と据え置いた。

 「第1四半期の業績は社内的には計画どおり。受注状況は好調だ。確実に売り上げに結び付けていけば、通期予想は達成できる」。決算会見に臨んだ富士通の塚野英博取締役執行役員常務CFO(最高財務責任者)は、こう語った(写真)。とはいえ、第1四半期の業績は厳しいものだった。

 主力の「テクノロジーソリューション」セグメントの売上高は、前年同期比1.5%増の7188億円、営業利益は前年同期に比べて154億円減り、40億円の赤字に転落した。金融・公共向けのSI事業は好調で、マイナンバー案件も順調に獲得したが、ネットワーク事業が足を引っ張った。

 富士通は2015年4月の2014年度決算会見の場で、「ビジネスモデル変革」に300億円を投じると表明した。同年5月には、その第1弾としてネットワーク機器事業の再編を発表。その構造改革費として、約50億円を今期計上した。

 「ユビキタスソリューション」は、売上高が前年同期比9.5%減の2432億円、営業利益は前年同期比163億円減で76億円の赤字だった。PC出荷数が前年同期に比べて3割減った一方、ドルに対する円安、ユーロ安が部材調達のコストアップ要因となり、赤字転落した。PC事業の立て直しについて塚野CFOは、「今後詰めていく」と話した。

 富士通はネットワーク機器事業の再編のほかにも、ビジネスモデル変革を進める見込みだ。「今秋には詳細を説明する」(塚野CFO)とした。