写真1●富士通エフサス 代表取締役社長 高萩弘氏
写真1●富士通エフサス 代表取締役社長 高萩弘氏
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写真2●6種類のサービスメニュー
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写真3●マルチクラウド統合ポータル
写真3●マルチクラウド統合ポータル
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 富士通エフサスは2015年7月29日、クラウド導入/活用の支援サービス「FUJITSU Managed Infrastructure Service マルチクラウドLCMサービス」を発表した(写真1)。クラウドサービスの導入から稼働後の運用管理までを対象に、コンサルティングや設計、運用自動化、監視/レポートといったサービスを提供する。主なターゲットは、プライベートクラウドを含め複数のクラウドサービスを組み合わせる、いわゆるマルチクラウド環境を活用する企業。「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」や「Microsoft Azure」、ニフティの「ニフティクラウド」、富士通の「A5」「K5」など複数のクラウドサービスに対応する。2017年度までに1000億円の売り上げを目標とする。

 クラウドの活用が進むにつれ、「使い方は多様化し、複数クラウド利用も当たり前になってきた」(富士通エフサス 高萩弘代表取締役社長)。複数のクラウドサービスを利用することで運用の負荷が増大する、予想外の費用が発生してしまうなどの問題も明らかになってきたという。今回のサービスで、こうした課題の解決を目指す。

 サービスのメニューは6種類(写真2)。コンサルティングの「Multi Cloud Consulting」、システム設計/構築の「同 Design」、クラウド間のシステム移行を行う「同 Migration」、クラウド環境の運用を自動化する「同 Deployment」、オンプレミス環境や複数のクラウド環境を統合的に監視する「同 Management」、過去の実績データを分析し、システム改善に生かす「同 Analysis」である。

 こうしたサービスの核となるのが、複数のクラウドサービスの利用状況を一元的に可視化する「マルチクラウド統合ポータル」(写真3)。利用金額の推移やサーバーの利用状況などのデータを各サービスのAPI経由で取得/分析する。定期的にユーザーに報告するほか、各種の情報を取得できる画面をユーザーの環境に用意することもできる。複数の主要クラウドサービスを対象にこうしたポータルを提供するのは、富士通エフサスによれば同社が初という。

 サービス提供を通じて同社が得た知見は、「実績データ」として蓄積。これを、コンサルティングなどのサービスに生かす。例えば代表的なシステム構成を「クラウドデザインパターン」として整理し、同様のシステムを短期間で構築できるようにする。

 ただしクラウドはサービス内容や価格の変化が激しいため、整備したパターンが短期間で役に立たなくなることもある。このため、マルチクラウド環境を想定した技術検証を行う「マルチクラウド検証センター」を新設。随時検証を重ねることで「絶えず新しい状態を保つ」(富士通エフサス 取締役 執行役員常務 平野一雄氏)。

 マルチクラウド検証センターでは、各種サービスの機能や仕様、価格などの調査も手掛ける。その成果をサービスに反映させるほか、同センターの設備を活用することで同社内の人材も育成する。クラウドを用いたシステムインテグレーションを担える技術者を、2015年度内に現状の500人から1000人に増やす。2017年度末には、2000人に増員する計画という。