楽天は2015年7月29日、同社の研究機関「楽天技術研究所」の海外拠点を、シンガポールと米国ボストンに新設したと発表した。東京、ニューヨーク、パリに続き、今回の新設で4カ国5拠点の体制となる。シンガポール拠点ではモバイルソーシャル分野を、ボストンの拠点ではAI(人工知能)分野の研究者を集める。

 シンガポール拠点は、心理学や行動科学などの知見に基づき、顧客満足度の向上につながる研究を担う。心理学とモバイルソーシャルの専門家であるエワ・シジマンスカ氏がチームを率いる。

 ボストンの拠点では、深層学習(ディープラーニング)を含めた機械学習、人工知能領域の研究を、各地域のビッグデータチームと連携して実施する。ECサイト企業でチーフサイエンティストを務めた経歴を持つアンカー・ダッタ氏がチームを率いる。

写真●楽天技術研究所代表の森正弥執行役員
写真●楽天技術研究所代表の森正弥執行役員
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 楽天がシンガポール、ボストンに研究拠点を新設した理由について、楽天技術研究所代表の森正弥執行役員は「高度な研究人材を獲得するため」と語る(写真)。特に、ディープラーニングを含めた機械学習の進歩については「技術戦略をすべて変えていかなければいけないほどのインパクトを感じている」(森氏)として、米国トップ級の大学が集積するボストンで研究人材を集める。

 森氏は現在、テレビ会議システムを使って1日数人のペースで採用面接を実施している。「両拠点とも、早い内にそれぞれ10人ほどの体制にする」(森氏)。現在の楽天技術研究所の人員は65人前後だが、拠点の新設と合わせて90人~100人体制を目指す考えだ。