写真●みずほ銀行本店の外観
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 みずほ銀行とマネーフォワードは2015年7月24日、両社が手掛けるサービスを連携させると発表した(写真)。今回の機能連携で、マネーフォワードの請求書作成ソフト「MFクラウド請求書」が提供する自動入金消込機能の照合精度が向上するという。ユーザーが手作業で消込作業をする負荷を軽減できる見込みだ。

 MFクラウド請求書での消込作業で、みずほ銀行が提供する「ベストレシーバー」への入金情報を自動取得できるようにする。ベストレシーバーは、企業が取引先ごとに仮想の口座番号を振り出せるサービス。数千の企業ユーザーを抱える。

 MFクラウド請求書は、自動で入金消込作業ができるサービスのβ版を提供中だが、振込人名や金額、日付などを基に請求データと実際の入金データとをひも付けていたため、照合率が上がりにくかった。今回の協業で、ベストレシーバーが割り当てる口座番号を基に消込作業ができるようになり、ほぼ100%の照合が可能になるという。

 ユーザーが、ベストレシーバーの仮想口座一覧をMFクラウド請求書にアップロードしておくと、請求書作成時に自動で口座番号が割り当てられる。消込作業の際は口座番号を媒介に照合できるため、振込人名などでの照合に比べて、精度が向上する。一つの請求に対して、複数の入金がある場合などは、マネーフォワードの独自アルゴリズムを使って、可能な限り自動で消込作業を進めるという。

 MFクラウド請求書の自動消込機能は、2015年8月3日に正式版を提供開始する予定。ベストレシーバーとの連携機能を使う場合、別途申し込みが必要だ。

 みずほ銀行e-ビジネス営業部法人プロダクト開発チームの芝崎実参事役は、「ベストレシーバーは元々、大量の取引先を抱える大手・中堅企業向けのサービス。昨今は、経理担当者が不足気味な中小企業でも需要が出てきた」と語る。中小企業に強いマネーフォワードのプロダクトと連携させることで、「裾野を広げられる」(芝崎参事役)。

 マネーフォワードは今回の連携で自社サービスの利便性を上げ、競争力を高めたい考えだ。みずほ銀以外との連携も視野に入れる。

ベンチャーとの結び付きを加速

 みずほ銀とマネーフォワードの協業の発端は、2015年春に遡る。みずほ銀からアプローチしたのがきっかけだ。同行営業部隊の要望を受けて両社の連携を模索する中、今回のサービス連携に至った。「実のある協業ができた」と、みずほ銀の芝崎参事役は満足げだ。第2弾の連携に向けて話し合いを続けているという。

 みずほ銀は今後、組織的にベンチャー企業との提携を探っていく。みずほ銀は、NTTデータが2015年7月24日に提供開始したベンチャー企業との協業支援サービス「Digital Corporate Accelerate Program(DCAP)」の採用を決めている。このサービスのファーストユーザーだ。

 DCAPではNTTデータが、傘下のスペインエヴェリスが持つベンチャー企業探索ツール「everisDigital」を使い、世界中のベンチャー企業を検索。顧客企業にマッチするベンチャー企業を選定し、協業によるビジネスモデルの構築などを支援する。

 みずほ銀はDCAPの採用やマネーフォワードとの連携で、ITベンチャーとの結び付きを強化。ITベンチャーがけん引する金融イノベーション「FinTech」の成果を自行に取り込み、競争力向上につなげたい考えだ。