写真●JTBグループ本社の鈴木雅己執行役員事業創造部長(左)とペイパルのエレナ・ワイズ ジャパン・カントリー・マネージャー
写真●JTBグループ本社の鈴木雅己執行役員事業創造部長(左)とペイパルのエレナ・ワイズ ジャパン・カントリー・マネージャー
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 JTBとオンライン決済サービスの米ペイパルは2015年7月23日、両社が提携したことを発表した(写真)。JTBが同日に開始した電子チケットサービス「PassMe!」で、ペイパルのアカウントを使えるようにした。JTBは会員登録や決済時の手間を減らし、ユーザーの新規獲得や購買促進につなげたい考えだ。

 PassMe!は、週末レジャーなどをターゲットにしたスマホ専用サービスで、レジャー施設や飲食店などの情報提供、チケットの販売、施設入場時のチケット認証などを行う。決済サービス「ペイパル」のアカウント情報を利用することで、会員登録の際に必要な入力の手間を削減した。チケット購入時にはペイパルを利用できるため、同ユーザーならばクレジットカード情報を新たに追加することなく、支払いが可能だ。

 PassMe!のサービス開始時点での契約施設数は約200。東京サマーランドなどで使えるという。2015年末に3000の契約施設と6000種類の商品を取りそろえ、取扱額3億円を目指す。2019年には契約施設を5000、商品ラインアップを1万5000まで拡充し、取扱額を80億円とする計画だ。

 「世界で1億6900万人が使うペイパルは、計画達成に不可欠なピースだ」。記者会見に臨んだJTBグループ本社の鈴木雅己執行役員事業創造部長は語った。PassMe!を多くのユーザーに利用してもらうために、「ユーザーにとって簡単かつ安全な認証と決済を実現する仕組みが必須」(鈴木執行役員)と考えるJTBは、2015年に入ってペイパルとの交渉を開始。今回の提携に至った。ペイパルのアカウント情報を会員登録に使えるサービスは国内初だという。

 PassMe!の投入でJTBが狙うのは、週末レジャー市場での巻き返しだ。週末レジャー市場でのシェアは2.8%。旅行分野では、旅先で観光情報を発信したり、現地サービスの申し込みができる「ポケたび」を提供したりするなど、積極的にオンラインサービスを展開してきたが、週末レジャーの領域には「ほとんど手をつけてこなかった」(鈴木執行役員)という。

 まずは国内需要の取り込みを目指すが、2017年度以降は訪日外国人向けに多言語対応などを進める。世界中のクレジットカードに対応するペイパルと組んだのは、こうしたインバウンド需要を見据えてのことだ。

 ペイパルは、2015年7月20日(米国時間)に米イーベイから分社、ナスダックへの再上場を果たしたばかり。一つのアカウントで、会員登録から決済までをまかなえる利便性を提供できるのは同社の強み。今回の提携のような取り組みを、JTB以外にも展開していく可能性がありそうだ。