写真1●Fyuseでの撮影画像(右)を掲載した車両販売システム「ドルフィネット」の画面
写真1●Fyuseでの撮影画像(右)を掲載した車両販売システム「ドルフィネット」の画面
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●ガリバーインターナショナル 新規ビジネス開発事業部 チームリーダーの青木隆浩氏
写真2●ガリバーインターナショナル 新規ビジネス開発事業部 チームリーダーの青木隆浩氏
[画像のクリックで拡大表示]

 自動車の買い取り・販売事業を手掛けるガリバーインターナショナルは2015年7月22日、米ベンチャーのFyusionが開発した空間写真アプリ「Fyuse(フューズ)」を、中古車画像を使った独自の車両販売システム「ドルフィネット」に連動させたと発表した(写真1)。同社によると「Fyuseの商用利用は業界初」という。

 Fyuseを使ってスマホで自動車をぐるりと囲むように撮影すると、独自の画像処理技術により3次元空間データとして保存する。保存したデータは自由に視点を変えて閲覧できる。スマホで閲覧する場合はジャイロセンサー(角速度センサー)と連動し、スマホの傾きに応じて視点を変更できる。

 ドルフィネットでは従来、車の外観を伝えるために8枚程度の画像を掲載していた。ガリバーインターナショナル 新規ビジネス開発事業部 チームリーダーの青木隆浩氏は、「1枚の画像で様々な角度から車両を見られる。自分で画像を動かす新たな体験を提供できる」とFyuseの利点を語る(写真2)。画像は拡大も可能で、細かい傷がないかなどの確認もしやすい。顧客の利便性を高めることで、画像による車両販売の売り上げ増を狙う。

 車の周囲を動画で撮影するのに比べて、Fyuseはデータ容量が小さくて済む。青木氏は「動画に比べて数十分の一の容量に抑えられる。スマホを利用する顧客が増えており、短い処理時間ですぐにスマホ上で画像を表示できる手軽さも魅力」と話す。

 ガリバーがFyuseの導入に踏み切ったのは、CIO(最高情報責任者)を兼任する執行役員の許哲(ホウ・チョル)氏の号令による(関連記事:クラウド武器に、世界一高品質な日本の中古車輸出を拡大)。青木氏によると「2015年初旬に許がFyuseの存在を知り、新規プロジェクトを立ち上げた」とのことだ。

 2015年6月にFyusionと商用利用に関する交渉を開始し、約2カ月で導入に至った。まずは輸入中古車専門店の「LIBERALA(リベラ―ラ)」を皮切りに、順次利用店舗を拡大する。ドルフィネットには常時約1万台が登録されており、「2015年中には国内の全店舗でFyuseの利用を検討している」(同社)という。ニュージーランドの店舗でもドルフィネットによる中古車販売を手掛けており、海外店舗でのFyuseの利用も視野に入れている。