欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は現地時間2015年7月16日、市場における独占的地位の乱用を禁じる独占禁止法に米Qualcommが違反した疑いがあるとして、同社に対する2件の正式な調査を開始すると発表した。

 ECは、Qualcommがベースバンドチップを独占的あるいはほぼ独占的に供給する条件で顧客にリベートや金銭を提供したか、また、Qualcommが競合社を市場から排除する目的で価格を不当に引き下げる「略奪的価格設定」に関わったかについて調べる。

 Qualcommは、ECから調査開始の通知を受けたことを認め、「この知らせを残念に思うが、当社はこれまでECに協力してきており、今後もECに協力していく」との声明を同日発表した。

 もし違反行為が確認された場合、Qualcommは年間売上高の10%に相当する罰金を科される可能性があるほか、商慣習の一部変更を求められることになる(米New York Timesの報道)。

 Qualcommは、様々な国の当局からライセンス事業に関して調査を受けている。同社は中国で1年以上にわたる調査ののち、今年2月に60億8800万人民元(約9億7500万ドル)の罰金を支払うことで中国国家発展改革委員会(NDRC)との和解に合意した(関連記事:Qualcomm、罰金9億7500万ドルで中国独占禁止当局と和解)。また、昨年秋に米連邦取引委員会(FTC)が同社に対する調査を通知し、今年4月には韓国の規制当局が新たな調査に乗り出したことを明らかにしている(米Wall Street Journalの報道)。

[発表資料(ECのプレスリリース)]
[発表資料(Qualcommのプレスリリース)]