NTTドコモは2015年7月15日、携帯電話の“2年縛り”を巡り、総務省の有識者会議で問題視する声が多く出ていることを受け、例えば「1年契約」のような中間メニューを新たに設ける方針を固めた。消費者の選択の自由度を高め、近年、増加傾向にある苦情や相談件数の低減につなげる。

 総務省は通信サービスにまつわる苦情や相談件数の増加を受け、有識者会議「ICTサービス 安心・安全研究会」で低減に向けた議論を進めている。2014年にはクーリングオフ(初期契約解除ルール)の導入を決めたばかりである(関連記事:店頭販売のクーリングオフ対象から端末を除外、名称変更へ、総務省WGが報告書案)。

 ICTサービス 安心・安全研究会で次の槍玉に挙がったのが、携帯電話の“2年縛り”問題である。携帯電話各社は2年契約を条件に毎月の料金を割り引くプランを提供しており、これが苦情や相談件数の増加につながっているという指摘だ。そこで、「利用者視点からのサービス検証タスクフォース」を立ち上げ、2015年5月から計5回にわたって議論を進めてきた。

 議論の主な焦点は、(1)契約の拘束期間、(2)契約の自動更新、(3)解約に伴う違約金の3つ。まず(1)拘束期間については、携帯電話大手3社とも2年契約以外の料金プランも提供している。実際には2年契約が大半というオチは付くが、一般の商習慣として否定されるものではない。「他の選択肢もしっかりと説明・提示すべき」「技術の進展や競争の激しい分野で将来の見通しは難しいため、3年や5年の拘束は控えるべき」といった議論に終始した。

 (2)自動更新と(3)違約金については、携帯電話大手3社がタスクフォースの議論の前に「契約更新前のプッシュ通知の強化」と「違約金が生じない解約期間を従来の1カ月から2カ月に延期」とする改善策を示していた。

 自動更新と違約金にまつわるトラブルは多く、「全体の3分の1を占める」(販売代理店)とする指摘も出ているが、やはり否定までは難しい。自動更新を禁止すると「契約の一時停止」または「翌月から(高い)通常料金に切り替え」とするしかないわけだが、かえってトラブルの増加につながる恐れがある。

 違約金についても、海外では違法と認定した例がみられるが、消費者契約法に反するとして国内の大手3社を相手取った裁判では、いずれも適法という判断が下されている。契約の残存期間に応じて違約金を増減する案も出たが、全体的に高くなる方向に作用して“改悪”につながる可能性がある。

 結局、議論は平行線のまま終わったわけだが、NTTドコモは消費者保護の重要性を鑑みて、改善に向けた中間メニューを率先して導入する方針を固めた。詳細は今後詰めるが、拘束期間を短くしたり、違約金を安くしたりしたメニューの追加が有力とみられる。

 NTTドコモが今回、自主的に動いたことでKDDI(au)やソフトバンクも追随する可能性が高い。