中国政府系企業で半導体設計大手のTsinghua Unigroup(清華紫光集団)が米Micron Technologyに対して230億ドルで買収を提案していると、複数の海外メディア(米Wall Street Journal英Financial Timesなど)が現地時間2015年7月14日に報じた。買収が成立すれば、中国による海外企業の買収としては最大規模となる。

 Unigroupは、Micron株1株につき21ドルの買収額を提示しているという。これは、7月13日のMicron株の終値17.61ドルに19.3%のプレミアムを上乗せした金額。Micronの株価は年初の約35ドルからほぼ半値に下落していた。

 Unigroupは中国の清華大学が出資して1993年に創業した。現在、中国政府は国内半導体生産を強化する政策を打ち出しており、半導体産業の振興に1兆2000億人民元の予算を用意している。なお、米Intelが昨年、Unigroupに15億ドルを出資し、同社株式の20%を取得している(関連記事)。

 中国企業による米企業買収では、2013年に中国精肉大手Shuanghui International Holdings(双匯国際)が米Smithfield Foodsを獲得した71億ドルが最高額だった。海外企業買収では2012年に中国海洋石油(CNOOC)がカナダNexenを買収した151億5000ドルが過去最大。CNOOCは2005年に米Unocalを185億ドルで買収しようとしたが、米政府は安全保障上の懸念からこれを阻止した。

 米New York Timesの取材に対し、UnigroupのZhao Weiguo会長は「言えることは、Micronと協力することに関心があるということだけだ」と述べたという。一方Micronの広報担当者は、買収提案は受け取っていないとし、「当社は噂や憶測にはコメントしない」と答えた。

 スイスCredit Suisseは、「UnigroupによるMicron買収計画は米当局の承認を得られない可能性が高い」と見ており、一部アナリストは、Micronのような高度なチップ製造技術が中国企業に買収されることは、米国の国家安全保障に関わると指摘している。