グラフ理論に基づく大規模データ解析性能を競う「Graph 500」の運営委員会が2015年7月14日に発表した最新のランキングで、理化学研究所(理研)の「京」が首位を奪還した。

 Graph 500のランキングは半年に1度公開される。京は2014年6月に初めて首位を獲得したものの、次の2014年11月では2位に後退していた。東京工業大学、理研、ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン、九州大学、富士通の共同研究グループがアルゴリズムを最適化し、半年前と比べ2倍近くの性能値を達成した。

  Graph 500で測る演算性能は、実アプリケーションではWebページのリンク解析、ソーシャルグラフ解析、POS(販売時点管理)データの相関分析など、いわゆるビッグデータ解析に相当するもの。プロセッサの演算性能がものをいうTOP500のベンチマークと異なり、ネットワークやメモリーの性能、ソフトウエアのアルゴリズム最適化が演算性能に大きく効いてくる。演算性能の単位はTEPS(1秒間に探索したグラフの枝数)である。

 今回、京のグラフ演算性能は3万8621ギガTEPS(グラフの大きさを示すScaleは40)だった。計算に使ったコア数は約66万である。2014年11月時点ではでは1万9585ギガTEPS(Scale 40)で2位だった。

TOP500の上位層はほとんど変動なし

 全世界で稼働中のスーパーコンピュータの実行性能を集計する「TOP500」については、トップ10の顔ぶれに大きな変動はなかった。首位は中国国防科学技術大学(NUDT)「天河2号」の33.86ペタFLOPS、4位は理化学研究所「京」の10.51ペタFLOPSと変わらず。サウジアラビアのアブドラ王立科学技術大学が保有するクレイ製スパコン「SHAHEEN Ⅱ」の5.54ペタFLOPSが初登場で7位に入った。

 11位以下では、32コアを搭載する富士通の最新プロセッサ「SPARC64 XIfx」を搭載するスパコンがお目見えした。核融合科学研究所の「プラズマシミュレータ」が2.38ペタFLOPSで初登場27位、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「SORA-MA」が1.19ペタFLOPSで同53位だった。