写真●訪日外国人向け施策で提携を発表するNTTドコモの坂井義清副社長(左)とラオックスの羅怡文社長
写真●訪日外国人向け施策で提携を発表するNTTドコモの坂井義清副社長(左)とラオックスの羅怡文社長
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 NTTドコモが中国人を中心とする訪日外国人の「爆買い」需要にあやかろうと、ようやく重い腰を上げた。2015年7月14日、家電量販店のラオックスとの提携を発表(写真)。中国・韓国人旅行者に対しドコモの国際ローミングを利用することを条件に、ラオックスの割引クーポンを配布する。

 2014年に訪日外国人が国内で消費した金額は2兆278億円と初めて2兆円の大台を突破。2015年も1~3月だけで7000億円に達しており大幅な伸びが当面続く見通し。KDDI(au)やソフトバンクはすでに無料公衆無線LANを活用して訪日外国人の行動をビッグデータで分析するなどしており、ドコモはまずローミング収入の拡大で遅れを取り戻す狙いだ。

 ドコモとラオックスの提携は、かねてドコモと協業関係にある中国移動通信(チャイナモバイル)、韓国KTの携帯電話回線の契約者を対象としたプロモーションだ。今秋をめどに、国際ローミングでドコモ回線に接続した中国移動・KT契約者に対し、ラオックス店頭で使える割引クーポンをメールなどで配布する。中国移動とKTは中韓国内の自社店舗で、契約者に対し国際ローミングのオプション契約を促すとともに割引クーポンの存在を案内する。

 訪日外国人、とりわけ中国人の「爆買い」が注目を集める中、ドコモはいわゆる「インバウンド消費」の取り込みで後れをとっていた。自社の公衆無線LAN網を訪日外国人向けに提供するサービス「docomo Wi-Fi for visitor」を2014年8月から試験運用しているものの、7日間で972円からと有料な点がネックとなりあまり注目されていない。翻訳アプリ「はなして翻訳」の海外版や観光案内アプリなども展開しているが、完全無料で知名度の高い「Google翻訳」といった競合もあり、収益に結びついていないのが現状だ。