画面●「おもてなしガイド」のスマートフォンアプリ
画面●「おもてなしガイド」のスマートフォンアプリ
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 ヤマハと情報通信研究機構(NICT)は2015年7月13日、アナウンスやナレーションの多言語化について共同研究を開始すると発表した。両者が開発する技術を連携させ、様々な日本語のアナウンスやナレーションをリアルタイムに多言語化できるシステムを開発する。2015年度中の実用化を目指す。

 共同研究の核となるのは、ヤマハが開発する「おもてなしガイド」と、NICTの音声認識/自動翻訳技術。おもてなしガイドは、日本語のアナウンスを多言語の音声/文字でスマートフォン上に提供するシステム(画面)。人間の耳には聞こえない高周波数帯の信号をアナウンスと一緒に放送し、ユーザーのスマートフォンがそれを受け取ると、あらかじめインストールされたコンテンツの中から対応するものを自動的に表示する(関連記事:ヤマハ、渋谷センター街でインターネットを使わない音声案内アプリの実証実験)。

 一方のNICTは、多言語の音声翻訳技術の開発を進めている。これを応用した多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra4U」なども公開する(関連記事:誰でもマルチリンガル、東京マラソンでも活躍した音声翻訳)。

 これらの技術を組み合わせることで、多言語化できるアナウンスやナレーションの幅を広げる。例えば迷子の情報を流すアナウンス。年齢や服の色などその都度変わる内容は、あらかじめスマートフォンにインストールされたコンテンツだけでは対応しにくい。自動翻訳技術を用いることで、こうした案内の多言語化も可能にする。

 アナウンスを流す際の手間も軽減する。現在のおもてなしガイドでリアルタイムのアナウンスを多言語化する場合、アナウンスをする人が、その都度内容に応じた信号を選んで一緒に放送する必要がある。音声認識技術を用いることで、アナウンスの内容に適した信号をシステムが自動的に選択できるようにする。