Apple CarPlayのWebサイト
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 自動車メーカーは、スマートフォンを用いた車載統合システムに関して、米Appleや米Googleとのデータ共有に消極的だと、英Reutersが現地時間2015年7月10日に報じた。

 スマートフォンと車載システムを統合して様々なデジタル情報サービスを提供する仕組みについては、Appleが「CarPlay」を、Googleが「Android Auto」を展開しており、多数の自動車メーカーが提携を結んでいる。

 しかし一部の自動車メーカーは、ハンドルやブレーキ、アクセルなどから収集するデータや、ガソリンがなくなるまでの走行距離といった各種情報を2社に渡すつもりはないとReutersに語っている。米Ford Motorの幹部は「我々はデータへのアクセスを管理する必要があり、価値を生み出す能力を守る必要がある」と述べたという。

 米コンサルティング会社のAlixPartnersの推計では、デジタルサービスに接続した自動車によって創出される売上高は、2013年の160億ドルから2018年には400億ドル規模に拡大する。自動車メーカーは収益につながる可能性のある自動車関連のデータからAppleおよびGoogleを遠ざけ、できるだけ大きい取り分を確保したい考えだと、同社は指摘している。

 自動車メーカーの思惑以外にも、ドライバーが個人情報を共有されるのをどう感じるかという問題が残っている。連邦および州当局が自動車のデータ収集および共有に関して制約を設ける可能性もある。

 CarPlayやAndroid Autoに対する姿勢はブランドによって異なる。例えばトヨタ自動車は導入に否定的だが、トヨタの北米向けブランドであるScionは車載統合システムに期待を寄せている。またFordはCarPlayおよびAndroid Autoのパートナーではあるが、独自のシステム「Sync 3」を手がけている(米SlashGearの報道)。