写真●新日鉄住金ソリューションズ社長の謝敷宗敬氏(写真:井上裕康)
写真●新日鉄住金ソリューションズ社長の謝敷宗敬氏(写真:井上裕康)
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 「求められているのは現場で人を支えるシステム」――。新日鉄住金ソリューションズの謝敷宗敬社長は2015年7月8日から10日にかけて東京・ホテルニューオータニで開催中のイベント「IT Japan 2015」(主催:日経BP社)でこう語った(写真)。

 これまでの日本企業の製造現場は、組織を超えたコミュニケーションや人のネットワークによって情報共有してきたと謝敷社長は言う。それが組織の隙間で起こる問題を埋めて、日本企業の製造現場の実力を底辺で支えてきたと振り返った。

 しかし現在は、少子高齢化で人材が減る一方で、製造現場は機能ごとに専門会社に組織再編され、ITによって作業の自動化が進んだ。謝敷社長は鉄鋼の生産ラインの例を挙げて、同じ現場にいながら1人での作業が増えたと紹介した。そのため、ほかの組織の人がいつ何をしているか分からないなど、組織を超えた現場のコミュニケーションが減るという問題が起こっているという。

 そのため現場で人を支えるシステムとして、「モノをつなぐIoT(Internet of Things)とともに、人を支えるITプラットフォームの構築も急がなければいけない」(謝敷社長)と強調。現場で働く個人の位置や挙動、状態などをリアルタイムで一元的に把握する「IoH(Internet of Human)」というコンセプトを説明した。

 IoHは、いわばIoTの人間版で、現場で働く一人ひとりを見守り、組織の枠を超えて解決しなければならない現場の課題に対応するという。IoHでは一人ひとりの活動の生データを「Human Activity Data(HAD)」に加工して、誰がどこでどういう状態かを把握し、現場で働く人が組織を超えて情報を共有して全体像をつかめるプラットフォームだという。