廣川氏は、2020年までに、次世代のIT基盤において「インフラ」「開発」「ITとビジネスの融合」の3分野で「激震とも言える変化が起こる」とする。1991年のLinux誕生に始まるOSSの歴史を振り返り、「かつてのOSSは商用ソフトの代替製品としての性格が強かった。ところが今はOSSが革新の母体だ」とする。その事例として、インフラ面ではRed Hat Enterprise Linuxの仮想化機能(KVM)による日本政策金融公庫のサーバー統合、開発面ではOSSのPaaS基盤「OpenShift」による米Ciscoの開発環境刷新の事例を紹介した。
ITとビジネスの融合では、巨大データの蓄積と活用から、あらゆるモノがインターネットでつながる「IoT(Internet of Things)」時代のリアルタイムなビッグデータ処理へと段階が進む点に言及。「これまでビジネスルールのIT化とデータの仮想的な統合に加えて、自然、天候、物流、人の動きをもITで吸い上げて統合する時代になる。『Uber』や『Hulu』に代表される新しいビジネスを現実化することがデジタル経営革命。この面でのOSSの貢献はますます加速する」と指摘した。
米Red Hatの製品群は、LinuxベースのOS製品(Linuxディストリビューション)「Red Hat Enterprise Linux」をはじめ、IaaS基盤の「OpenStack」ベースの「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」、分散ストレージの「Ceph」ベースの「Red Hat Ceph Storage」と、全てがOSSだ。OSSはユーザー主体ですぐに試せる性格を持つ一方で、ユーザーにある程度の力量が求められる。廣川氏は「OSSをミッションクリティカルで使う価値を付けるのがレッドハット」とした。