写真●ヤマトホールディングスの木川眞代表取締役会長(写真:井上裕康)
写真●ヤマトホールディングスの木川眞代表取締役会長(写真:井上裕康)
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 「当社は2019年に創業100年を迎える。それに向けて『第3のイノベーション』を進めている」。ヤマトホールディングスの木川眞代表取締役会長は2015年7月9日、東京・千代田のホテルニューオータニで開催中の「IT Japan 2015」(日経BP社主催、10日まで)において、「クロネコヤマトの満足創造経営」と題して講演、自社の経営計画とIT活用について話した(写真)。

 第3のイノベーションは、主に、2013年に同社が発表した「バリュー・ネットワーキング」構想のことを指す。これは、「物流を単なるコストではなく、お客様の事業の付加価値を生み出す手段にする」(木川会長)ことを狙ったもの。例えば、沖縄国際流通ハブを使えば、アジアの国に翌日配送できるようになった。「第1次産業の事業者は商圏を広げることができる。製造業ならば、保守部品をすぐに届けられるのでサービス向上につながる」(木川氏)。ちなみに、同社にとって第1のイノベーションは「路線事業」、第2のイノベーションは「宅急便」であった。

 「バリュー・ネットワーキング」構想と並んで進めているのが「プロジェクトG」と呼ぶ、地域活性化の新たな取り組みだ。地方自治体と提携し、生活者支援サービスを手掛ける。安否確認を兼ねた、高齢者向けの買い物代行サービス「まごころ宅急便」がその一例だ。

 これらの新しい取り組みを進めるにあたり、「IT抜きには語れない」と木川会長は主張する。「当社のCIO(最高情報責任者)が事業戦略の担当役員を兼ねているのはそのため。事業戦略担当がCIOを兼ねるのではない。CIOが事業戦略を担うのだ」(同)。