日本の会計基準設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)は2015年6月30日、日本版IFRS(国際会計基準)、J-IFRSとも言われる「修正国際基準(JMIS=ジェイミス)」を正式に公開した。6月29日に開催した第314回委員会で議決を取り、出席した委員全員の賛成により公開となった。2016年3月期末の連結財務諸表から適用可能になる。

 修正国際基準は、IFRSを構成する基準の一部を日本企業のニーズに応じて削除/修正したもの。のれんの処理を償却とする(IFRSは非償却)、当期純損益の処理をリサイクリング(その他の包括利益として認識した株式売却損益などを当期純損益としても認識)とする(IFRSはノンリサイクリング=株式売却損益などを当期純損益として認識しない)といった違いがある(関連記事:姿を現した日本版IFRS、IT各社は新たなビジネスチャンスに期待)。

 ASBJは2013年に修正国際基準の議論を開始し、2014年7月に草案を公開。同年10月までパブリックコメントを受け付け、2015年2月の第22回作業部会(IFRSのエンドースメントに関する作業部会)で議論をほぼ完了していた(関連記事:「日本版IFRS」の正式版が公開へ、2016年3月期から適用可能に)。基準の最終化がこの時期になった点について、ASBJは「修正国際基準はIFRSの文言を引用しており、IFRS財団と著作権について協議していた」と説明した。

 正式公開した修正国際基準の内容は、修正国際基準第2号の確定給付制度に関わる表現を少し直した程度で、公開草案との大きな違いはない。適用時期については、第22回作業部会では「2015年4月1日以降に始まる会計年度の期首から」とする方針を示していたが、公開時期がずれ込んだため、「2016年3月31日以降に終了する会計年度に係る年度末の連結財務諸表から」とした。四半期決算については「2016年4月1日以降に開始する会計年度に係る四半期連結財務諸表から」適用可能としている。

 修正国際基準がようやく適用可能になった一方、IFRSそのもの(ピュアIFRS)を採用する日本企業は着実に増えている(関連記事:NECとパナもIFRS任意適用、80社が適時開示で表明済み)。日本取引所グループの調べでは、6月現在で88社がIFRS任意適用を表明している。この状況で、修正国際基準を選択する日本企業がどの程度出てくるかが注目される。

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