写真1●5G実証試験のイメージ
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写真2●5Gの実証試験は3段階で進める
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写真3●屋外走行可能エリアの実証試験のイメージ
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写真4●ショッピングモール内など屋内エリアの実証試験も想定する
写真4●ショッピングモール内など屋内エリアの実証試験も想定する
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 日本における第5世代移動体通信システム(5G)の研究開発を推進する場として産学官連携が発足させた「第5世代モバイル推進フォーラム」(5GMF、関連記事)は2015年6月29日、年次総会を開催し、2017年度から5Gの実証試験を実施することを明らかにした(写真1)。

 2020年の5G商用化を目指し、無線技術のみならず、ネットワークやアプリケーションとの連携を含めた総合的な実証試験を実施する。

 実証試験は3段階で進め、2017年度後半から2018年度にかけて無線部分の基本技術の実証試験、2018年度から2020年度にかけて無線+ネットワークの連携実証、2019年度から2021年度にかけて無線+ネットワーク+アプリケーションを連携した実証試験を行う(写真2)。

 基本技術の実証試験項目は、超多素子アンテナを用いたビームフォーミング技術、空間多重技術、上り非直交多元アクセスなど。無線+ネットワーク連携の実証試験項目は、Mobile Edge Computing(MEC)など、エッジ部分のコンピューターリソースを用いた低遅延性の実験や、SDNやNFVを用いたインフラの柔軟性の試験。無線+ネットワーク+アプリケーションの試験項目は、ITS(高度道路交通システム)や医療・健康・美容・高齢者支援、サイネージ、農業など様々な分野を想定するほか、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を想定したアプリケーションも準備する予定。

 周波数帯は、既存周波数帯からセンチメートル波、ミリ波帯まで幅広い周波数帯を対象とする。実証試験には、国内外の幅広い企業、団体の参加を期待しており、基本的にオープンに参加できるとしている。

 実証試験の実施場所は、東京オリンピック・パラリンピックを意識して選定した東京の各所のほか、地方都市での実施も予定する。実証試験のイメージとして、屋外の走行可能エリアのほか(写真3)、ショッピングモール内など屋内エリア(写真4)も想定する。

 5Gは、現在の第4世代移動通信システム以上の超高速・超大容量、超低遅延、超大量接続を目指し、世界で議論が活発化している。移動通信システムの標準化団体である「3GPP」は2015年9月に5Gに関するワークショップの開催を予定しており、本格的な5G標準化の議論が始まる見込みとなっている。

[リリース:第5世代移動通信システムに関する総合実証試験について