写真●横浜市にあるアイネットのデータセンター
写真●横浜市にあるアイネットのデータセンター
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 アイネットは複数のデータセンターをあたかも一カ所の施設のように使えるシステム運用サービスを2015年11月に始める。米ヴイエムウェアの技術を使い、サーバーに加えストレージやネットワーク機器も仮想化する。データセンターのハードウエア資源全体をソフトウエアで制御することで、柔軟なシステム構成変更が可能になる。施設を無人で運転し、ハード資源を自動的に割り当てる「全自動データセンター」の実現も視野に入れる。災害対策や大規模システムの運用といった用途に売り込む。

 サービス名称は「Next Generation EASY Cloud」。米ヴイエムウェアが提唱する、データセンターのハード資源全体をソフトウエアで制御する「ソフトウエア・デファインド・データセンター(SDDC)」と呼ぶ技術構想に沿ったサービスだ。同社が運営する複数のデータセンターを使って提供する(写真

 SDDCではサーバー、ストレージ、ネットワーク機器のそれぞれを仮想化する。サーバー仮想化がもたらすのは1台のサーバー機器をあたかも複数台のように利用する機能だ。複数のアプリケーションを1台のサーバー機器上で動かし、各アプリケーションにプロセッサやメモリーを割り当てる。これらのアプリケーションへ個別にストレージを割り当てる技術が、ストレージ仮想化。ネットワーク仮想化は、ネットワークの構成をプログラムで変更したり、セキュリティ機能を仮想サーバーごとに設定したりする技術だ。

 一連の仮想化技術の利点は、「比較的安価な機器を使ってシステムの可用性や柔軟性を高められる」(アイネットの田口勉専務取締役)ことだ。安価だが管理機能や信頼性の低いストレージやネットワーク機器を使い、ハードが故障したら取り替える。こうすることで、機器のコストを抑えつつデータセンター全体の管理性や信頼性を高める。

 こうした特性を備えたデータセンターを構築するため、アイネットはサーバー仮想化ソフト「vSphere 6」をはじめとするヴイエムウェアのデータセンター向けソフトを導入した。各種ハード資源の仮想化機能をはじめ、同ソフトが備える運用管理機能や障害対策機能を使って、柔軟なシステム運用サービスを提供する。