画面1●DSSDは、PCI Express接続の外付け高速フラッシュストレージ
画面1●DSSDは、PCI Express接続の外付け高速フラッシュストレージ
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画面2●DSSDには、ブロックアクセス、APIアクセス、HDFSアクセスが可能
画面2●DSSDには、ブロックアクセス、APIアクセス、HDFSアクセスが可能
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 EMCジャパンは2015年6月25日、(a)フラッシュストレージ、(b)ストレージソフトウエア、(c)ストレージソフトを中核としたクラウド基盤サーバー――の3分野で新製品を発表した。2015年5月に米国で開催したイベント「EMC World 2015」での発表内容を受けたもの。製品は順次提供を開始していく。

 (a)のフラッシュストレージについては、オールSSD構成のスケールアウト型SANストレージの新版「XtremIO 4.0」と、サーバーとPCI Expressケーブルを介して接続する高速/低遅延型のフラッシュストレージの新製品「DSSD」(画面1)を発表した。XtremIOは同日提供を開始しており、DSSDは今後の提供を予定する。

 XtremIOの新版では、ユニットの「X-Brick」を増設して性能と容量を拡張する際に、ストレージを停止することなくオンラインで増設できるようにした。また、スナップショット機能などを強化し、基幹システムで普通に使えるストレージとしての位置付けを固めたという。新版では、X-Brickに従来の2倍以上の容量となる40Tバイトのモデルを用意。8台の最大構成で320Tバイトになる。

 DSSDの詳細は不明だが、サーバー側では、DSSDと接続するためのPCI Expressクライアントカードを使う(画面2)。データへのアクセス方法としては、ブロックアクセス(ドライバーソフトを用意)、APIアクセス、Hadoopの標準ファイルシステムであるHDFSとしてのアクセス(HDFSに組み込むプラグインを用意)などがある。

主力ストレージをソフトウエアで提供、既存ソフトも無償化も

画面3●CDP(継続的データ保護)とストレージ仮想化ゲートウエイに次いで主力ストレージ本体のVNXも仮想アプライアンス化した。今後はスケールアウトNASのIsilonもソフトウエアとして提供する予定
画面3●CDP(継続的データ保護)とストレージ仮想化ゲートウエイに次いで主力ストレージ本体のVNXも仮想アプライアンス化した。今後はスケールアウトNASのIsilonもソフトウエアとして提供する予定
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写真1●EMCジャパン、執行役員、システムズ・エンジニアリング本部長の飯塚力哉氏
写真1●EMCジャパン、執行役員、システムズ・エンジニアリング本部長の飯塚力哉氏
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 (b)のストレージソフトウエアについては、三つの既存製品について提供形態を拡大し、SDS(ソフトウエアデファインドストレージ)への取り組みを強化。まず、SAN/NAS統合ストレージ「VNX」からソフトウエアを切り出して仮想アプライアンス化した「vVNX」を新たに用意した(画面3)。

 すでに仮想アプライアンス化を果たしている「RecoverPoint as a Virtual Appliance」(CDP製品)や「VPLEX Virtual Edition」(ストレージ仮想化ゲートウエイ)に次いで、主力ストレージ本体であるVNXもソフトウエア化した形。さらに同社では今後、スケールアウト型NAS「Isilon」に搭載している分散ファイルシステム「OneFS」も仮想アプライアンス化して「vOneFS」の名称で提供する予定。

 異機種ストレージを抽象化してアクセスしやすくするストレージ仮想化ソフト「ViPR」についても強化。ViPRの構成要素の一つで、サーバーへのストレージボリュームの割り当て作業を簡素化する「ViPR Controller」を、2015年6月からオープンソース化して公開する(名称は「Project CoprHD」)。

 ViPRをオープンソース化する狙いを、EMCジャパンで執行役員システムズ・エンジニアリング本部長を務める飯塚力哉氏(写真1)は、「他社ストレージを含めてViPRで仮想化する場合、オープンソース化によって、ViPRで管理できるストレージの種類を増やせる。対応していないストレージに、より早く対応できる」と説明する。

 複数サーバーの内蔵ストレージを束ねて共有ブロックストレージを構成する仮想ストレージソフト「ScaleIO」についても、オープンソースではないが、開発やテスト用途などの本番環境でない用途に限って無償で使えるようにした。ユーザー登録することなく、バイナリーをダウンロードできる。将来的に本番環境で使うことになった場合は、ライセンスの購入によってアップグレードできる。

ScaleIO採用の大規模ハイパーコンバージドも用意

画面4●VxRackの特徴は、1000ノード級の大規模なクラウド基盤を構築できることと、ハード/ソフトの構成が決め打ちではなく柔軟に変えられること
画面4●VxRackの特徴は、1000ノード級の大規模なクラウド基盤を構築できることと、ハード/ソフトの構成が決め打ちではなく柔軟に変えられること
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画面5●VxRackの初期モデルは分散ストレージソフトにScaleIOを採用。これにより1000ノードまで拡張できるとしている
画面5●VxRackの初期モデルは分散ストレージソフトにScaleIOを採用。これにより1000ノードまで拡張できるとしている
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 (c)ストレージソフトを中核としたクラウド基盤サーバーについては、グループ企業であるVCEテクノロジー・ソリューションズから、分散ストレージソフトとサーバー仮想化ソフトを組み合わせてスケールアウト型のクラウド基盤を実現する“ハイパーコンバージドインフラストラクチャー”の新製品「VxRack」を2015年第3四半期から提供する。

 同社のハイパーコンバージド製品には、中小規模向けの「VMware EVO:RAIL」(分散ストレージソフトにはVMware Virtual SANを使用)があるが、今回発表したVxRackは、サーバーが1000台を超えるような大規模な用途にも利用できる(画面4)。また、ハードウエア/ソフトウエア構成が決め打ちではなく、VMware vSphere以外にKVMやベアメタル構成も選択できる。

 最初に出すモデル「VxRack System 1000シリーズ」は分散ストレージソフトにEMCのScaleIOを採用する(画面5)。「Virtual SANと比較したScaleIOのメリットは拡張性。1000ノードまで拡張できる」(大塚氏)としている。一方、その後に出す新モデルでは、Virtual SANなどScaleIO以外の分散ストレージソフトの採用も予定する。