「IaaS(Infrastructure as a Service)における第一の競合は米Amazon Web Services(AWS)だ」――。米OracleのLarry Ellison取締役会経営執行役会長兼CTO(最高技術責任者)は2015年6月22日(米国時間)の記者会見でこのように語り、IaaS市場のリーダーであるAWSに挑戦すると宣言した(写真1)。同社は同日、IaaSとPaaS(Platform as a Service)の新サービスを24種類発表している。

写真1●米OracleのLarry Ellison取締役会経営執行役会長兼CTO
写真1●米OracleのLarry Ellison取締役会経営執行役会長兼CTO
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 Oracleが提供するクラウドはこれまで、CRM(顧客関係管理)などの業務アプリケーションをサービスとして提供するSaaS(Software as a Service)や、Javaのアプリケーションを稼働するための環境(プラットフォーム)をサービスとして提供するPaaSが中心であり、IaaSはほぼ手付かずの状態だった。

 実際、調査会社の米Gartnerが2015年5月に発表したIaaS市場の分析レポート「Magic Quadrant for Cloud Infrastructure as a Service, Worldwide」でも、AWSや米MicrosoftがIaaS市場の「リーダー」に位置付けられている一方で、Oracleは同レポートの分析対象になっていなかった。

OpenStackベースのIaaSを提供

 「Oracle Cloudのミッシングブロック(パズルの足りないパーツ)は『Compute』だった」。Ellison会長は記者会見でこう語る。ここで言う「Compute」とは、IaaSの最も基本的なサービスである「仮想マシン」のサービスのこと。

 Oracleは今回、仮想マシンをサービスとして提供する「Dedicated Compute」を発表。Ellison会長は、「仮想マシン上では、Oracle以外のサード・パーティー・アプリケーションや、ユーザー企業が独自に開発したアプリケーションを自由に稼働できる」と改めて述べた。OracleのIaaSは、オープンソースソフトウエア(OSS)のIaaS構築ソフト「OpenStack」で構築したもので、仮想マシンソフトにはOSSの「Xen」を使用している。