経済産業省と情報処理推進機構(IPA)は2015年6月18日、「2014年度未踏IT人材発掘・育成事業」(未踏事業)で特に優れた成果を修めた人材を「スーパークリエータ」として認定したと発表した。認定されたのは、聴覚障害者の音の知覚を支援する小型デバイスや、ネット上の記事を動画に自動変換するシステムの開発者など7人(写真1)。過去最年少となる高校1年生(応募時点で中学生)のスーパークリエータも誕生した(写真2)。
対象は25歳未満の個人。まずアイデアを募集し、書類や面接を通じて優れた人材を採択する。2014年度は25人が選ばれ、産業界や学術界で活躍するプロジェクトマネージャー(PM)の指導の下、9カ月にわたってアイデアの実装に挑んだ(写真3)。その中で選ばれた7人はいずれも「まさに“未踏”、世界で初めてのことをやっている。シリコンバレーなら、この段階で10億円単位のお金が付くだろう」(PMとして未踏事業全体を統括した、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の夏野剛特別招聘教授)。
聴覚障害者団体での活動を基に「ONTENNA」を開発したのが、24歳の本多達也さん。学生の頃に未踏事業に応募し、現在はキヤノン 総合デザインセンター ヒューマンインタフェースデザイン部に所属する。ONTENNAは音の大きさを振動と光の強さに変換するデバイス(写真4、写真5)。ヘアピンのように髪に付けることが可能で、音が鳴ると振動が髪の毛に伝わる。「髪の毛で音を感じられる新しいユーザーインタフェース」(本多氏)だ。