創業来、数多くのメディアや新事業を生み出し続けるリクルート。新事業を生み出す上で、重要な役割を果たしてきたのが、同社内で30年以上にわたり行われている新規事業のビジネスプランコンテスト「New Ring(Recruit Innovation Group)」だ。例えば、結婚情報を扱う「ゼクシィ」や大学受験生向け情報を提供する「受験サプリ」、若者向けの無料情報誌「R25」などは、この新規事業コンテストから輩出された。

 このコンテストの最大の特徴は、コンテストでの好成績が、事業化と直結していること。最終審査を通過したプランの提案者は、従来の職場を離れて事業責任者となり、その事業の立ち上げを任される。

 そのNew Ringは、2014年4月に内容が一新された。従来のNew Ringは、1年に1回の頻度で全社単位で行われていたが、新体制では、New Ringを総称として残したまま、持株会社(リクルートホールディングス)が主催するコンテスト「Recruit Ventures」と、各事業会社が主催する部門単位のコンテストを併存する形にしたのである(写真1)。

写真1●創業期の社章に使われていたカモメをモチーフにしたRecruit Venturesのロゴ(写真提供=リクルート)
写真1●創業期の社章に使われていたカモメをモチーフにしたRecruit Venturesのロゴ(写真提供=リクルート)
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 このうちRecruit Venturesが扱うものは、全社の方向性を反映したものになる。現在同社が志向しているのが、「IT化」と「グローバル化」。同社の事業にソフトウエアが浸透し、海外企業を積極的に買収するなどグローバル化する動きを反映したものと言える。IT業界もグローバル経済もいずれも動きが目まぐるしく、1年に1回のコンテストではその早さについていけないだろうとの判断から、事業プランは随時受け付けるようになり、予選会の頻度については月に1回に改められたのだという(写真2)。

写真2●Recruit Ventures予選会の様子(写真提供=リクルート)
写真2●Recruit Ventures予選会の様子(写真提供=リクルート)
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