厚生労働省東京労働局は2015年6月16日、システムエンジニア(SE)を多重派遣する労働者派遣法違反があったとして、SE派遣会社のアルバドア(東京・中央)に17日から2週間の事業停止命令を出した。

 東京労働局の発表によれば、アルバドアはある通信サービス提供会社との間で労働者派遣契約や出向と称する契約を結び、2012年4月から2014年6月までの間にSEの労働者12人(1452人日)を派遣していた。派遣したSEは通信サービス提供会社の指揮命令下で業務に従事させた()。

図●厚生労働省東京労働局が発表したSE多重派遣に関する行政処分事案の概要
図●厚生労働省東京労働局が発表したSE多重派遣に関する行政処分事案の概要
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 労働者派遣法は多重派遣を原則として禁止しており、アルバドアは直接雇用したSEを派遣しなければならない。だが実際には、この12人のうち8人は、複数の派遣元から労働者派遣契約や出向と称する契約によって受け入れていたSEを、通信サービス提供会社に派遣していた(2重派遣)。

 12人のうち4人(343人日)は、別のSE派遣会社2社からアルバドアが受け入れて、通信サービス提供会社へと派遣していた(3重派遣)。東京労働局は、この2社のうちの1社であるアクセントキーテクノロジー(東京・港)にも、2015年6月16日付けで事業改善命令を出した。

 Webサイトによれば、アルバドアは2005年設立で資本金300万円。主要取引先としてNTTグループ企業を挙げている。

 いわゆる「SEの多重派遣」はIT業界で広く横行していると言われる。行政処分にまで至る例は少ないとみられるが、2014年7月にも同種の事案で事業停止命令が出ている(関連記事:SE派遣3社に業務停止命令などの行政処分、IT企業への「多重派遣」で)。

厚生労働省の発表資料