米Amazon.comは、スマートフォンなどのモバイルアプリを用い、一般の人々に商品を配達してもらう仕組みを検討していると、海外メディア(米Wall Street Journal米The VergeTechCrunchなど)が現地時間2015年6月16日に報じた。

 それによると、Amazonが社内でこのプロジェクトに付けた名称は、“どこかへ向かう途中”を意味する「On My Way」。例えば利用者がAmazonと契約している小売店などに行き、そこに保管されている荷物を預かり、最終目的地へと運ぶ。すると利用者には現金や、AmazonのWebサイトで使用できるクレジットなどが与えられる。これら情報のやりとりをモバイルアプリで行うという。

 このニュースを最初に伝えたWall Street Journalは事情に詳しい関係者の話として、プロジェクトを通じた配達サービスの開始時期については今のところ分からず、Amazonはプロジェクトを中止する可能性もあると伝えている。ただ、これが実現すれば、同社は高騰が続く配送コストを抑えたり、繁忙期に配達遅延を防いだりできる可能性があるという。

 一方で、どのように配達担当者を審査するのか、Amazonと競合する小売店からの協力は得られるのか、商品の破損/紛失時には誰が責任を負うのか、といったことが明確になっておらず、課題が多いと専門家は指摘している。

 Wall Street Journalによると、Amazonがこの計画を実現させれば、同社は「クラウドソース・デリバリー」と呼ばれる、一時的な契約職員を使った配達サービス事業に参入することになる。ただし、この分野では大手運送業者などと競合する規模でサービスを展開した企業はまだない。なおAmazonのライバルである米Wal-Mart Storesは2013年に、店内にいる顧客に商品配達を依頼するクラウドソース・デリバリーを一時的に検討したことがあると、同紙は伝えている。