写真1●アカウンティング・サース・ジャパンの佐野徹朗代表取締役社長CEO(最高経営責任者)
写真1●アカウンティング・サース・ジャパンの佐野徹朗代表取締役社長CEO(最高経営責任者)
[画像のクリックで拡大表示]

 税理士向けクラウドサービス「A-SaaS」を手掛けるアカウンティング・サース・ジャパン(ASJ)は2015年6月16日、マイナンバー管理の負荷を軽減する新サービス「マイナセキュリティ」を発表した。同年8月上旬に「A-SaaS」の標準機能として提供を開始する。企業の従業員本人がマイナンバーを入力、クラウド上で保管することで、税理士事務所や中小企業の負担を少なくする。

 6月15日に会見を開いたASJの佐野徹朗代表取締役社長CEO(最高経営責任者)は、「マイナンバーの施行は、当社にとって大事な転換期だ」と力を込めた(写真1)。2016年1月に税と社会保障の分野で利用が始まるマイナンバーは、税務申告を担う税理士の下に集まる。漏えい対策などの負担が重くなる見込みだ。さくら中央税理士法人の安田信彦氏は、「我々にとって、年金機構のような事件も人ごとではなくなる」と、警鐘を鳴らす(写真2)。

写真2●さくら中央税理士法人の安田信彦氏
写真2●さくら中央税理士法人の安田信彦氏
[画像のクリックで拡大表示]

 マイナセキュリティは、マイナンバーの収集、保管作業を支援するツールだ。税理士事務所や顧客である中小企業が、「いきなり高度なセキュリティ対策を講じることは難しい」(ASJの中尾健一取締役)。そこで、ASJのクラウド上でマイナンバーを扱う。

 企業の従業員本人にマイナセキュリティにログイン後、マイナンバーを入力してもらう。入力されたマイナンバーはASJのクラウドで保管するため、中小企業や税理士事務所がマイナンバーを保管する必要はない。セキュリティ対策を講じる手間を削減できる。税務・会計システム「A-SaaS」の標準機能として実装するため、税務申告時などにマイナンバーを自動でひも付けることも可能だ。マイナンバーの収集、管理、利用を一貫してクラウド上で取り扱え、漏えいリスクを軽減できるという。

 マイナセキュリティは、A-SaaSの利用者でなくとも無償提供する。マイナンバー対策をきっかけにしてマイナセキュリティを使ってもらい、「A-SaaS」の利用につなげたい考えだ。ASJの佐野社長は、現在約1800の税理士事務所に導入しているA-SaaSについて、「今後1年で少なくとも3000まで増やしたい」と意気込む。