米Appleが6月30日に世界100カ国以上で始める新たな音楽サービス「Apple Music」について、同社は音楽出版社などの権利保有者に対し、サービス収入の70%以上を分配する契約を結んでいると、複数の海外メディアが現地時間2015年6月15日、米Re/codeの記事を引用して伝えた。この料率は、業界平均を若干上回るという。

 これに先立ち米国の一部のメディアは、Appleが同サービスで音楽会社に支払う楽曲使用料(ロイヤルティー)は、サービス収入の58%と伝えていた。しかし、Appleインターネットソフトウエア/サービス担当上級バイスプレジデントのEddy Cue氏とともに音楽会社との交渉を行ってきた、iTunes Content担当バイスプレジデントのRobert Kondrk氏が、Re/codeのインタビューの取材に対し具体的な数値を述べ、先の報道を否定した。Re/codeはレコード会社の幹部にも取材し、その数値が正しいことを確認したという。

 それによると、Appleは米国で権利保有者に対しサブスクリプション収入の71.5%を支払う。米国以外の国では料率にばらつきがあるものの、平均すると73%になるという。これらは録音物の権利保有者と、音楽出版権の保有者に支払われる。

 Appleが6月30日に開始する新サービスは、主に(1)3000万曲以上の楽曲をストリーミング配信する「Apple Music」と、(2)著名なDJが選んだ楽曲をラジオ放送のように流す「Apple Music Radio」で構成される。Appleが発表している月額料金は9.99ドルだが、(2)の一部のサービス「Beats 1」は世界中に無料で配信される見通し。またApple Musicには、3カ月間の無料トライアル期間が用意される(関連記事:「Apple Music」、世界100カ国以上で6月30日に開始、月額9.99ドル)。

 Re/codeによると、Appleはこの無料期間分について音楽会社などにロイヤルティーを一切支払わないという。同社が支払うロイヤルティー料率は英Spotifyなどに適用されている業界平均の70%を上回るが、それはApple Musicの無料トライアル期間が長いことが理由の1つ。有料サブスクリプションサービスの無料期間は1カ月であることが多いと、Re/codeは伝えている(関連記事:Apple Musicの登場を控え、Spotifyが有料会員2000万人突破を発表)。