写真1●新会社設立を発表するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(左から2人目)ら両社幹部
写真1●新会社設立を発表するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(左から2人目)ら両社幹部
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 衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングとアクセンチュアは2015年6月15日、オムニチャネル戦略やサプライチェーン改革の推進に向けた共同出資の新会社を年内にも設立すると発表した(写真1)。

 従来オンライン店舗でのみ活用していた会員情報や購買履歴などのデータベースを実店舗でも活用可能にするなど、オンライン店舗と実店舗の連携を強化。併せて、サプライチェーンの各部門のシステムの連携を図るほか、そうしたシステムを構築・運用できるITエンジニアの採用を進める。

 今秋以降、顧客データベースの強化や実店舗での購入の利便性を高める具体的なサービスの提供を始める計画だ。

購入履歴や採寸データ、実店舗でも活用

 新会社の役割は、会員情報の活用やサプライチェーンの効率化といったITを活用したサービスや業務の改革を立案し、そのために必要な情報システムの構築や業務プロセスの変革を進めることだ。

 会員情報の活用では、会員情報やビッグデータの活用による実店舗の販売強化が柱となる。ユニクロのオンライン店舗では、会員の属性や購入履歴に基づいてお薦め商品を表示するなど、会員情報の活用を既に進めている。

 一方で実店舗ではこうした情報を活用しておらず「年1回しか来店しない顧客も毎月来店して商品をチェックする顧客も、みんなアノニマス(匿名)だ」(ファーストリテイリング グループ執行役員CIOの玉置肇氏)という状況だった。

 まずは、オンライン店舗のデータベースを実店舗と共有化し、実店舗でも会員情報を蓄積・活用する。実店舗での購入履歴もネット店舗と同様にデータベースに記憶するほか、例えばオンライン店舗での購入履歴を参照して店員がお薦め商品を案内したり、オンライン店舗で登録した股下補正データを引き出して、補正のための採寸を不要にしたりといった取り組みを検討している。