台湾の電子機器受託製造大手、Hon Hai Precision Industry(鴻海精密工業)が、iPhoneなどのApple製品を製造する工場をインドに建設する計画を立てていると、複数の海外メディア(米CNET英Guardianなど)が現地時間2015年6月11日、英Reutersの報道を引用して伝えた。Hon Haiは、工場の建設地を探すため、今後1カ月かけて担当者の一団をインドに送るという。

 Hon Haiは、2020年までに工場やデータセンターを含む10~12の施設をインドにつくることを目指すと述べていた。同社はその詳細を明らかにしていないが、インド西部マハラシュトラ州の政府高官によると、Hon Haiはインド国内向けと世界市場向けのiPhone、iPad、iPodを同国で製造したいと考えている。ただしHon Haiは、同国での製造計画を確約はしたわけではないと、この高官は話している。

 Reutersによると、Hon Haiは世界最大の電子機器受託製造会社。中国Foxconn Technology(富士康科技)を傘下に持ち、iPhoneの大半を中国で製造してきたが、インドに工場を設けることで、加速する賃金上昇の影響を抑制できる可能性がある。製造コストを低減することで、台湾Quanta Computer(広達電脳)などのライバル企業との競争が激化する中、Appleからの受注を維持できる可能性があるともReutersは伝えている。

 一方Appleにとっては、世界3番目の規模であるインドのスマートフォン市場で、製品価格を引き下げられる可能性があるという。Reutersは香港の市場調査会社、Counterpoint Technology Market Researchのリポートを引用し、Appleはインドのスマートフォン市場で、地場メーカーのMicromax Informaticsや韓国Samsung Electronicsの後塵を拝していると、伝えている(関連記事:[データは語る]Samsung、インドのスマホ市場で2位に後退、同国Micromaxが初の首位)。