Preferred Networks(PFN)は2015年6月10日、ディープラーニング(多層ニューラルネットワークによる機械学習)の産業応用で、ファナック、パナソニックの2社と協業すると発表した。PFNの西川徹社長が、幕張メッセで開催中の「Interop Tokyo 2015」の講演で明らかにした。ファナックとは工作機械やロボットの生産性向上や予防保全、パナソニックとは先進運転支援システム(ADAS)などにディープラーニングを応用する技術開発で協業する。

工作機械の巨人と人工知能の雄がタッグ

写真1●PFNの西川徹社長(左)とファナックの稲葉清典専務取締役(右)
写真1●PFNの西川徹社長(左)とファナックの稲葉清典専務取締役(右)
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 ファナックとPFNは、同日に記者会見を開いた(写真1)。ファナック ロボット事業本部長 グローバル事業戦略本部長 ロボット研究所長の稲葉清典専務取締役は「(今回の協業は)製造業を革新的に変える、大きなプロジェクトと考えている」と語った。

写真2●PFN西川社長は記者会見に先立ち、Interopの講演でファナックとの協業を発表した
写真2●PFN西川社長は記者会見に先立ち、Interopの講演でファナックとの協業を発表した
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 両社は協業を通じ、複数の産業用ロボットが協調しながら生産性を高めるような動作を学習したり、故障を事前に予測したりできるような機械学習技術の開発を目指す(写真2、写真3)。

写真3●ファナックは、ディープラーニング関連技術で業務全般にわたってPFNと協業する
写真3●ファナックは、ディープラーニング関連技術で業務全般にわたってPFNと協業する
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 例えばロボット溶接であれば、10台の溶接ロボットをどのように協調作業させれば、最も短いサイクルタイムで工程を完了できるかを、ディープラーニングで導き出す。さらに、1台が故障で停止した場合にも、残り9台で工程を完了させる方法を素早く導き出す、といった応用が考えられるという。

 稲葉氏は、協業先としてPFNを選んだ理由について「クラウド上にデータを集めて解析できる企業はいくつかあるが、複数のロボットが互いに協調して学習でき、制御に必要なリアルタイム性を備えた機械学習技術を持つのはPFNだけだった」と語る。PFNとの資本提携の可能性については「可能性を含めて検討中」(稲葉氏)とした。