写真●石屋製菓の本間哲平氏(取締役 財務業務担当)
写真●石屋製菓の本間哲平氏(取締役 財務業務担当)
撮影:渡辺可緒理
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 ネット通販サイトをクラウドで構築したのは「爆発的なアクセスに対応するため」――。北海道の定番お土産「白い恋人」で有名な石屋製菓の本間哲平氏(取締役 財務業務担当、写真)と同社のIT全般をサポートしている扶桑電通の今新 洋一氏が2015年6月5日、札幌で開催された「Cloud Days 札幌 2015/ビッグデータEXPO 札幌 2015/セキュリティ2015 in 札幌/スマートフォン&タブレット2015 in 札幌」のKEYNOTE講演に登壇。「高信頼のクラウドサービスをシステム基盤に『白い恋人』のWebサイトを構築」と題して、同社のオンラインショップサイトをクラウドで構築した経緯やメリットについて講演した。

 冒頭で、本間氏は、石屋製菓における通信販売の位置付けを説明した。「道内限定販売の『白い恋人』を購入した観光客が、帰宅後に『数が足りないので、一つでも二つでも送ってください』と依頼してくることが多かった。この要望に応えるために、電話とFAX、事前振り込みで、道外からの注文を受け付けるようになった」(本間氏)。これが、同社が通信販売を始めた発端だ。つまり、「通信販売は販路拡大ではなく、あくまでも顧客サービスの一つだった」(同)。

 「石屋製菓にとって、販売店の商売が最優先。これは今でも不変だ」と本間氏は語る。「道内の店舗が一番重要」という理由で、同社はネット販売には力を入れなかったが、白い恋人の販売店が自社でネット販売を開始するようになり、白い恋人も日本中で買えるようになった。「お客さんからも『どうしてネット販売をしてくれないのか』と、言われるようになった」(同)。

 そこで同社はネット通販を開始したが、「販売店の商売が最優先」という理由からテレビや新聞の広告は抑制しており、ネット販売にかける人・システム資源投入も最小限にしている。「ネット通販が店頭販売よりも大きい会社もあるが、石屋製菓の場合、売上高に占める通信販売の割合は多くて2%」(同)。

 一方で、白い恋人の知名度は非常に高いので、ネットやテレビで注目されて、注文が爆発することがある。「新製品の『白いバーム』を発売したときに、日本中から注文が殺到したが、物流が追いつけない、という苦い経験をした」(本間氏)。

 「リピーターの注文頻度が高いわけではないが、スポット的な注文が殺到することがある。ピークとボトムの差が非常に激しい。これに柔軟に対応できる必要があった」(同)。