画面●クラウド動画共有システム「CMOSY」
画面●クラウド動画共有システム「CMOSY」
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 TBSテレビは、クラウド環境を使った番組製作支援システム「BooBoクラウド」を開発し、実際の番組製作において編集支援システムとそのセキュリティ確保の実証実験を行ってきたが、このほど同システムの開発を手がけてきた吉積情報、KDDI、ユニゾンシステムズが動画共有システムの普及版「Cloud Movie System(CMOSY、クモシー)」としてリリースし、2015年6月中旬にも一般販売することになった。

 CMOSYは、「Google Cloud Platform」上で構築され、ファイルの保存先として容量に制限のない「Google Drive for Work」を活用する。大容量動画ファイルなどを高速にクラウドにアップロードし、セキュアな環境でマルチデバイスで閲覧できる。さらにGoogle Apps全機能やセキュリティ機能、高速転送機能、トランスコード機能や検索、共有権限管理機能などを統合したグループウエアとして使える。「動画共有を中心にしたセキュアなグループウエア」と位置付けられる。TBSテレビによると、動画も扱うという意味では、こうしたシステムは世界的にも存在しないという。

 放送番組の制作現場では、動画のファイルベースでのコミュニケーションが盛んになっている。一方で、いわゆるシャドーITの利用による情報漏えいなどが危惧される。そこで、TBSテレビは2014年秋にグーグルのクラウドサービス「Google Apps Unlimited」を活用したプレビューシステムとしてBooBoクラウドを発表、「アップローダー」「ファイル共有」「ファイル便」の大きく三つの機能を実装した。その後、よりセキュアな運用が可能になるような機能アップと、使い勝手の向上に取り組み、今回一般に向けて販売することになった。

 例えば、コンテンツ(未放送素材や権利者など)のセキュリティ確保に向けて、ファイルの共有権限を細かく設定できるようにしたり、番組やプロジェクトチームごとにグループを設定できるようにしたりした。共有したファイルについては、有効期限を設定できるようにし、「共有しっぱなしはないようにする」など様々な工夫を施した(図)。また、同じグループ内でも編集の可否など細かく設定できるようにした。このほか、詳細なログ管理が可能で、万が一の際に即座に追跡できるようにしている。社内の実証実験に向けたBooBoクラウドでは理解した人間が使うことが前提になっていたが、今回は一般化に向けて、「重要なファイルを、画面上のボタン一つで誰でもセキュアに管理して運用できるようなシステム化を進めた」という。

 外販の対象は、まず放送局や番組製作会社などが挙げられる。また、動画を中心にセキュアなファイルを扱う様々な企業も対象になりそうだ。月額利用料は、アカウントの数に応じて設定されるが、利用するクラウド側ドライブの容量によらず定額である。CMOSYは、「Connected Media Tokyo」(6月10~12日)でデモする。

■変更履歴
記事公開当初、社名の表記に誤りがありました。正しくは「ユニゾンシステムズ」です。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。 [2015/06/01 19:00]