ビッグデータ分析のクラウドサービスを手がける米トレジャーデータは2015年6月4日、デジタルマーケティングとIoT(モノのインターネット)を重点的に強化すると発表した。芳川裕誠CEO(最高経営責任者)は、同社の顧客となるのは企業のIT部門ではなく大半が事業部門であると述べ、企業を成長させるIT投資の牽引役が変わりつつあるとの認識を示した。
芳川CEOによれば、同社のデータ収集・保存・分析クラウドサービスの導入を希望する企業の部門は、大半が直接事業を手がけるユーザー部門であるという。「これまでITはコスト削減や業務の効率性を高める合理化のツールだった。しかしここ最近は、企業のユーザー部門が、ビジネスを直接成長させる道具として、当社のサービスを使うケースが増えている」(同)。
同社が保存するデータ量は、この1年で3倍に増えた。日本と米国のほか、中国や韓国、東南アジアの顧客が増えているという。
事業の成長を受けて同社は今後、日本向けにはデジタルマーケティング分野とIoT分野に注力する。デジタルマーケティング分野で同社サービスを活用する方法の一つが、企業内外のデータを組み合わせて分析することだ。対象となるのは、企業が自社で運営するデータ分析システムに格納する購買や顧客属性、広告配信実績といったデータと、外部の広告会社などが持つ自社Webサイトのアクセス履歴だ。
トレジャーデータのクラウドサービスを介して、企業が両データを取得、分析し、ネット広告を効果的に配信するといった用途を想定する。こうした処理を容易にするため、同社はデジタルマーケティング技術を持つ企業との協業を進める。
IoT分野に関しては、工場の生産ラインや電力施設などから大量のログデータを集めるための、パートナー企業との協業を進める。2015年3月には、組み込み機器開発を手がけるアットマークテクノと協業した。同社の無線機器にセンサーからのログ収集機能を追加し、トレジャーデータのクラウドへログを容易に集められるようにした。
トレジャーデータは同日、ユーザー会が発足したことも明らかにした。同社も専任のマネジャーを設け、ユーザー会の活動を支援する。