写真●北海道ガスICT推進部ICTサービスグループ係長の稲垣利陽氏
写真●北海道ガスICT推進部ICTサービスグループ係長の稲垣利陽氏
撮影:渡辺可緒理
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 「2016年4月に電力小売りの自由化が始まり、当社はガスに加えて電力も届けることができるようになる。新規事業を展開する上ではグループ全体の力を結集し、創造性や革新性を生かすチャレンジが大切になる」。

 2015年6月4~5日に札幌で開催しているICTの専門展「Cloud Days 札幌 2015/ビッグデータEXPO 札幌 2015/セキュリティ2015 in 札幌/スマートフォン&タブレット2015 in 札幌」のKEYNOTEに、北海道ガスICT推進部ICTサービスグループ係長の稲垣利陽氏が登壇(写真)。グループ2000人が利用する情報共有基盤の整備や、BYOD(私物端末の業務利用)の実現、端末のシンクライアント化といった取り組みを紹介。これらを生かして、新たな事業に「明るく、前向きに挑戦したい」と稲垣氏は語った。

当初からクラウド型グループウエアの利用を想定

 55万8000件(2015年3月時点)の顧客に向けてガス事業を展開している北海道ガスが、同社のほか、ガス機器販売の北ガスフレアストグループやLPG(液化石油ガス)販売の北ガスジェネックスといった北ガスグループ全体のグループウエア整備に乗り出したのは2012年。従来製品が更新時期を迎えていたとともに、2020年にガス販売量7億立方メートルの達成を目指す中期経営計画「プログレス2020」でグループ構造改革を打ち出したことがきっかけだった。

 その際に「当初からクラウド環境の利用を前提とした」(稲垣氏)。導入・保守コストに加えて、ディザスターリカバリー対策を重視したからだ。「災害時には顧客の設備の早期復旧が最優先。その際も関係者同士がやり取りする仕組みを継続して利用可能にする必要があった」(同)。

 同社が選んだのはグーグルの「Google Apps for Work」。作業が100%Webで完結するほか、ブラウザー「Chrome」の最新版を利用できる、アドオンが豊富にある、導入・保守コストが安い、といった点が決め手となった。「グーグルの将来性がグループ改革のスピードアップに寄与する、との期待もあった」(稲垣氏)。