2015年6月2日に開幕した「AWS Summit Tokyo 2015」では、従来のセッションに加え、新たにモバイルやWebアプリケーション開発者向けのデベロッパーカンファレンスが開催されている。

 初日の4セッションのうち、最も聴衆が集まったのが、ビジネス・ブレークスルー 代表取締役社長の大前研一氏とクリエイティブホープ 代表取締役会長の大前創希氏による親子対談(写真1)。テーマは「2035年、その時デベロッパーはどう生きるか」で、創希氏が進行役となり、研一氏が「1995年に出版した『インターネット革命』は予想以上の速度で進行した」「ネットワークによってヒエラルキーは崩壊した。肩書ではなく、知識や経験、判断力のある人の意見が大事になるのが世界の潮流」「“より良いものを作る”時代が終わり、リーダーの役割は方向性を示すことに変わった」と、過去20年の変化を明快に表現していった。

写真1●ほぼ満席となった大前研一氏親子によるキーノート
写真1●ほぼ満席となった大前研一氏親子によるキーノート
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 2人の対談は、20世紀と21世紀に求められる人材像は異なるという話題に移る。「昔のケーススタディの研究ではなく、現存する企業の判断ができる力が必要」「『誰かが教える』から『自ら学ぶ』に変わった」「学歴による『アカデミック・スマート』ではなく、現場力がある『ストリート・スマート』が大事」などの違いを列挙した。

 研一氏は、クラウドソーシングが広がった2035年には、世界の安価な労働力に代替されやすい熟練工のような開発者の役割が低下し、「発想や構想、コンセプトを生み出す力が重要」とする。そして「変化できるものだけが生き残る」という、進化論で有名なダーウィンの言葉で締めくくった。

GitHub創業者も登壇

 この日のオープニングキーノートに立ったのは、米GitHub共同創業者のScott Chacon氏。GitHubは、ソースコードなどの文書の変更履歴を記録・追跡できるバージョン管理システムを運営している企業だ。同氏は、OpenSourceの広がりを中心に、10年前と現在の開発環境を比較した。

 同氏は、GitHubの適用領域が、プログラム開発だけでなく、例えばホワイトハウスのような行政組織や企業での採用が広がっていると報告。プログラム開発だけでなく、例えば法律文書などの管理などには相性がいいとした。同氏は講演の締めくくりとして、もっと多くの人がオープンソースから学ぶことができる、まずはオープンソースのコミュニティに貢献してほしいと語った。