写真●米ティントリで技術担当VPを務めるレックス・ウォルターズ(Rex Walters)氏
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画面●Min IOPS(最低限これだけは保証するI/O性能)とMax IOPS(I/O性能の上限値)のいずれかまたは両方を個々の仮想サーバーに手動で設定できる
画面●Min IOPS(最低限これだけは保証するI/O性能)とMax IOPS(I/O性能の上限値)のいずれかまたは両方を個々の仮想サーバーに手動で設定できる
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図●仮想ディスク単位でスナップショットと複製ができる(出典:ティントリジャパン)
図●仮想ディスク単位でスナップショットと複製ができる(出典:ティントリジャパン)
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 ティントリジャパンは2015年6月4日、仮想サーバーのディスクイメージを格納する用途に特化した仮想化環境向けストレージ製品「Tintri VMstore」の機能を拡張し、個々の仮想サーバーに割り当てるストレージ性能を手動で設定できるようにした。仮想サーバーごとに、Min IOPS(最低限これだけは保証するI/O性能)と、Max IOPS(I/O性能の上限値)を設定できるようにした。

 Tintri VMstoreは、サーバー仮想化専用のストレージである(関連記事:仮想化専用ストレージ「Tintri」、新版で3500VMをサポート)。仮想サーバーの仮想ハードディスクイメージを格納し、仮想サーバーのプライマリーストレージとして利用する。米ティントリの技術担当VP(写真)が挙げる特徴の一つは、分かりにくいLUN/ボリューム単位ではなく仮想サーバーや仮想ディスクの単位でI/O性能を管理できること。

 Min IOPS(最低限これだけは保証するI/O性能)によって、ストレージ全体に突発的な負荷がかかった場合でも、データベースサーバーなど重要な仮想サーバーの性能を一定以上に確保できるようになった(画面)。一方、Max IOPS(I/O性能の上限値)によって、サービスプロバイダーなどがユーザーに割り当てるストレージ性能を一定以下に抑えられるようになった。

全自動のQoSに手動のQoSを追加、細かく制御可能に

 そもそもTintri VMstoreは、以前から全自動のQoS機能を備えている。個々の仮想サーバーのストレージI/Oを監視し、利用状況に応じてストレージ性能を自動で割り当て直す機能である。利用状況を10分間隔で計測し続けたデータを元に、割り当てるストレージ性能を一定間隔でその都度決め直す。高いI/O性能を要求する仮想サーバーには自動的に高いI/O性能が割り当てられる仕組みである。

 自動のQoSはストレージのI/O性能を上手に分配してくれるが、手動のQoSで設定するMin IOPSとは異なり、I/O性能を保証するものではない。ストレージ全体で性能に余裕がある場合は自動のQoSだけでよいが、余裕がない場合はI/O性能を保証可能な手動のQoSの出番になる。なぜなら、ストレージ性能に余剰がないときに自動のQoSだけで運用していると、ある仮想サーバーのI/Oが突発的に増えたときに、これ以外の仮想サーバーのI/Oが一時的に下がってしまうことがあるからだ。

仮想ディスク単位でスナップショットと複製を可能に

 手動のQoSは、最新OS「Tintri OS 3.2」の新機能として追加したもの。ティントリジャパン社長の河野通明氏は、新機能を搭載した新OSについて「米ティントリ創業期に仮想化向けのストレージはこうあるべきだと考えていた機能が完成したバージョン」とアピールする。

 新OSではまた、オプションの「SyncVM」ライセンスを適用することによって、仮想ディスク単位でスナップショットと複製ができるようになった()。仮想サーバーのスナップショットバックアップとリカバリーに利用できるほか、仮想ディスクの1台を他の仮想サーバーの仮想ディスクに複製する使い方ができる。例えば、本番環境のデータベースサーバーのデータディスクを開発環境に対して瞬時に複製できる。SyncVMの参考価格(税別)は、138万円から(Tintri VMstore T820向け、1ノード当たり)。