写真1●語学学習システム開発ベンチャーであるコーリジャパンのアルナ・イェンソンCEO(最高経営責任者)。東工大卒の知日派
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写真2●コーリジャパンのサービスのコンセプトを「氷山の一角」で説明
写真2●コーリジャパンのサービスのコンセプトを「氷山の一角」で説明
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写真3●「ドローン配送サービス」など特定分野の学習コンテンツの例
写真3●「ドローン配送サービス」など特定分野の学習コンテンツの例
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写真4●SAPジャパン出身で、コーリジャパンのCOO(最高執行責任者)に就いた中田淳氏
写真4●SAPジャパン出身で、コーリジャパンのCOO(最高執行責任者)に就いた中田淳氏
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 語学学習システム開発ベンチャーのアイスランドCoooriは2015年5月26日、日本法人コーリジャパンの設立記者会見を開いた。創業者のアルナ・イェンソンCEO(最高経営責任者)は「ビッグデータと人工知能で英語学習の在り方を変えたい」と意気込みを語った(写真1)。

 コーリジャパンは既に月額1980円(税込み)のWeb英語学習システムを個人向けに提供している。今後これを日本企業向けにカスタマイズし、大口採用を軸に急成長を狙う。2015年中に企業向け機能を拡充・整備し、2016年末までに100社の企業ユーザー獲得を目指す。

 システムのユーザーは、英単語や例文の音声を覚えて、例文の穴埋め問題を解くという1回10分程度の流れを繰り返して、学習を進める。これ自体に目新しさはないが、裏側の解析エンジンに特徴がある。

 イェンソンCEOは、「英語力のうち、会話力はあくまで氷山の一角。水面下にあるリスニング力と読解力が障壁になってスムーズに習得できないケースがあまりに多い。当社は、この水面下の『準備』をシステムで支援する」と説明する(写真2)。社名は日本語の「氷」をもじって付けたという。

 具体的には、英単語・例文の出題にビッグデータ解析を取り入れている。「そのユーザーが間違えた」「回答に時間を要した」「類似の学習レベルの他のユーザーもよく間違えている」といった細かなデータの蓄積に基づいて、そのユーザーに最適な出題をする。間違えたものは繰り返し出題し、即答できる程度に記憶が定着したとみられる時点で出題されなくなる。

 今後、この手法を企業用途に応用する。企業では職種や業務分野によって独特の語彙がある。例えば、「ドローン配送サービス」「3D印刷」などの分野に特化したコンテンツを用意している(写真3)。ここに含まれる単語・例文をマスターすれば、ドローンや3D印刷に関するサービスを扱う人が英語力を向上させる準備ができる。

 これをさらに発展させて、顧客企業が持つ業務マニュアルや製品カタログなどを解析し、特定企業・職種のユーザー向けにカスタマイズした学習システムを提供する。SAPジャパン出身で、新会社のCOO(最高執行責任者)に就いた中田淳氏は、「まだ具体名を出せないが、いくつかの企業と導入に向けたPoC(概念実証)を進めている。その企業内での習得の進捗状況もデータで把握できる」と説明した(写真4)。

 イェンソンCEOはアイスランドの大学を卒業し、当地でプログラマーとして勤務した後、2003年に来日。東京工業大学大学院で人工知能を研究し、2009年に博士課程を修了した(工学博士)。在学中にアイスランド語の自動音声認識システムを開発し、2010年にCoooriを創業。本人もアイスランド語に加えてフィンランド語などの北欧語、英語や日本語に堪能である。

コーリジャパンのWebサイト