写真1●イスラエルのエリコム・ソフトウエアと、アシストのエリコム関係者
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写真2●イスラエルのエリコム・ソフトウエアで会長兼チーフアーキテクトを務めるエラン・ヘイマン(Eran Heyman)氏
写真2●イスラエルのエリコム・ソフトウエアで会長兼チーフアーキテクトを務めるエラン・ヘイマン(Eran Heyman)氏
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 アシストは2015年5月27日、デスクトップ仮想化ソフト「PowerTerm WebConnect」の後継となる「Ericom Connect」を発表した(写真1)。8月3日に出荷する。既存ソフトの機能を踏襲しつつ、必要なデータをメインメモリー上に展開するアーキテクチャーによって性能を高めた。アシストの検証では、サーバー1台で従来の100倍となる同時10万アクセスのシンクライアント接続を処理できたという。価格は既存ソフトよりも若干高くなるが、数万台クラスの大規模利用ではサーバー数を減らせるので運用が容易になる。開発会社はイスラエルのエリコム・ソフトウエア。

 Ericom Connectでは、個々のシンクライアントを接続先のデスクトップやアプリケーションに適切に割り振るデスクトップブローカー機能の性能向上に注力した。シンクライアントと接続先の対応表など、デスクトップブローカーに必要な全てのデータをインメモリー型で保有する。複数台のサーバーをクラスタリング構成で使うことも可能で、処理負荷を分散できるほか、可用性を高められる。エリコム・ソフトウエアの会長兼チーフアーキテクトであるエラン・ヘイマン氏(写真2)はEricom Connectの意義を、「これまで、低価格、高速、マルチデバイスの順で強化してきた。次の一手として性能を高めた」と説明する。

 既存ソフトのPowerTerm WebConnectが備える機能は全て踏襲する(関連記事:アシストがVDIソフト「Ericom」の新版、画面の表示速度を向上)。特徴の一つは、三つのシンクライアントプロトコルから好きなものを利用できること。Windows標準の「RDP」なら、任意のRDPクライアントから接続できる。専用のクライアントソフトをインストールすれば、RDPを圧縮して5~25倍に高速化する独自プロトコル「Ericom Blaze」も使える。RDPの画面をHTML5に変換する機能も持っており、HTML5対応ブラウザーから画面を操作できる。

 接続先については、VDI(デスクトップ仮想化)や物理デスクトップなどのリモートデスクトップに接続できるほか、SBC(サーバー・ベースド・コンピューティング)のようなターミナルサーバー型の接続も可能。Windows Serverをターミナルサービス型で利用しながらユーザーごとに独立したデスクトップの見栄えを実現するRDSの環境でも利用できる。接続時には、シンクライアントプロトコルを中継するゲートウエイ型のモードと、最初に仲介したあとはシンクライアントと接続先が直接コネクションを張るモードのいずれも利用できる。

 Ericom Connectでは、Web管理画面も刷新した。接続の設定、接続ログの分析などが容易になった。CLIも用意し、他の運用管理ソフトからCLIを介して制御できるようにした。初期導入も簡単で「20分でインストールできる」(アシスト)という。今後は、サービスプロバイダーや大企業向けの機能として、1台のサーバーをマルチテナント型で運用できるようにする予定である。

 Ericom Connectの価格は未定だが、PowerTerm WebConnectよりも若干高くなるという。PowerTerm WebConnectの価格(税別)は、単価が最も安くなる指名ユーザー1000人の場合に1ユーザー当たり7440円、単価が最も高くなる同時アクセス99人以下の場合に1ユーザー当たり1万7640円。