画面●transeraアナリティクスの画面(ヒートマップの例)
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写真1●米トランセラ・コミュニケーションズで社長兼COOを務めるアルナブ・ミシュラ(Arnab Mishra)氏
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写真2●transeraアナリティクスの詳細を説明する、ITプロダクト&サービス事業本部IPネットワークテクノロジ部の澤田亨裕担当部長
写真2●transeraアナリティクスの詳細を説明する、ITプロダクト&サービス事業本部IPネットワークテクノロジ部の澤田亨裕担当部長
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 SCSKは2015年5月27日、ビッグデータ分析によってコールセンターの業績を改善するサービス「transeraアナリティクス」(画面)を発表した。顧客対応の案件ごとに様々なデータを関連付けて分析することで、問い合わせの内容に応じて適切なオペレーターに対応を割り振れるようになる。価格(税別)は195万円からで、クラウド型のデータ分析システムとともに提供する。販売目標は2015年度に20社。開発会社は、米トランセラ・コミュニケーションズ。

 コールセンターには、分析すべきビッグデータが大量に存在する。具体的には、ACD(着信した電話の自動分配)、CRM(顧客関係管理)、WFO(オペレーターの仕事の最適化)といったシステムごとに顧客対応履歴などが存在する。米トランセラ・コミュニケーションズ社長のアルナブ・ミシュラ氏(写真1)は、従来のコールセンターの問題点を「システムごとにデータが孤立しており、データ同士を関連付けて分析する手段がなかった」と指摘。transeraアナリティクスでは、これらを関連付けてデータ分析に利用できるようにする。

 複数のデータをひも付けて分析すれば、コンバージョンレート(契約成立率)の向上などのコールセンターの目的に応じて改善策を見つけられる。例えば、電話をオペレーターにどういう基準で割り振ればいいのか(コールルーティングのルール)や、どの台本(スクリプト)を使って電話に対応すればいいのか、などが分かる。さらに、transeraのクラウド型コールセンターと組み合わせると、改善策をシステムに組み込んで、オペレーターへの割り当てまで自動化できるという(関連記事:SCSK、どんな電話でも使えるクラウド型コールセンターを販売)。

 transeraアナリティクスでは、主としてオペレーターのスキルを指標として管理する。同社が手がけた大手EC(電子商取引)サイトの事例では、成約件数や平均処理時間に応じて、オペレーターのランクを11段階に分類した。かかってくる電話のうち、成約に直結する電話を、成約率に優れたオペレーターに優先的に割り振るようにした。transeraアナリティクスを導入する以前は、オペレーターのスキルに関係なく、全てのオペレーターに対して均一に電話を割り振っていた。

データマイニングなどを駆使して改善策をモデル化

 transeraアナリティクスでは、コールセンターの目的に応じた改善策を決めるまでに、(a)データの蓄積、(b)データの分析、(c)改善策の提示、という三つのフェーズでコンサルティングを実施する()。SCSKのエンジニアや米トランセラ・コミュニケーションズのデータサイエンティストがデータ分析を支援する。

図●transeraアナリティクスの概要(出典:SCSK)
図●transeraアナリティクスの概要(出典:SCSK)
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 (a)のデータの蓄積では、収集したデータを顧客案件ごとに関連付けてレポジトリーに格納する。これが分析用のデータになる。任意のデータを収集して分析しやすい形に加工できる。CRMなどの著名なアプリケーションからはアダプター経由でデータを取得できる。

 (b)のデータの分析では、データ分析ツールを使って、データの意味付けと、データ同士の関連付けを行う。分析手法として、現象分析(Descriptive)と探索的データ分析(Exploratory)の二つを利用する。こうして、目的の達成に関与する相関因子や、目的達成を妨げている要素を特定する。

 (c)改善策の提示では、どのような改善策のモデルを適用すればKPI(重要業績評価指標)を最大化できるのかを決める。スコアリングやランク付けによって、収益や顧客満足度などトレードオフとなる複数のKPIを満足させる最適な改善策を作る。さらに、過去のデータを使ったシミュレーションでモデルの効果を測定する。分析手法として、予測分析(Predictive)と処方的分析(Prescriptive)の二つを利用する。