写真●IT総合戦略本部のマイナンバー等分科会第9回会合
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 自民党IT戦略特命委員会の福田峰之・マイナンバー利活用推進小委員長は2015年5月20日、政府のIT総合戦略本部が開いたマイナンバー等分科会(写真)で、2020年までの「マイナンバー制度利活用推進ロードマップ案」を公表し、「日本のマイナンバー制度を海外に輸出するということも十分考えられる」と述べた。

 福田峰之・マイナンバー利活用小委員長は、甘利明社会保障・税一体改革担当大臣の補佐官として、マイナンバー制度分野で大臣を補佐している。マイナンバー分科会ではロードマップ案について、自民党IT戦略特命委員会マイナンバー利活用委員会での議論の叩き台として説明した。

 ロードマップ案では、個人情報をひも付けるマイナンバーそのものの利用と、個人番号カードを利用して本人確認ができる「公的個人認証」や、マイナンバーの利用状況などを確認できる「マイナポータル」の活用について、それぞれ区別して活用策を整理した。希望者に無償交付する個人番号カードについては、2016年3月末に1000万枚、2019年3月末に8700万枚の普及を目指すという。

 ロードマップ案によると、個人番号カードや公的個人認証の普及策として、まず2016年1月から国家公務員身分証と個人番号カードを一体化する。これを手始めに同年4月以降、個人番号カードのICチップの空き容量を民間に開放して、民間企業の社員証や民間のポイントカードなどとの「ワンカード化」を進め、個人番号カードの普及を促すという。

 2017年から2019年にかけては、デビッドカードやクレジットカード、キャッシュカードなどとして利用できるようにするほか、公的資格の証明書や、運転免許証や医師免許の一体化も盛り込んでいる。そのうえで福田・小委員長は「個人番号カードと同じ機能をスマートフォンなどのデバイスにダウンロードして使えるようにしていかないといけない」と述べた。

 またロードマップ案では、個人番号カードによる公的個人認証について、2016年1月の民間開放によって本人確認が必要となる携帯電話(SIMカード)や興行チケットの販売などに利用できるようにするとした。公的個人認証は民間企業の幅広い利用が想定されるという。

 さらに2019年以降には、住民票がない在留邦人や訪日外国人向けに非居住者用の個人番号カードを交付したり、海外転出者に個人番号カードの継続利用を認めて、公的個人認証によって在留邦人が国政選挙でインターネット投票ができるようにするとした。

 福田・小委員長は、2020年の東京オリンピックで会場への入退に公的個人認証を利用することで訪日外国人にマイナンバーが機能している様子を示して、「サービスとして説明できる状態にしておくことが日本の将来の成長戦略に重要」と述べた。

 このほか分科会では、マイナポータルに電子私書箱の機能を盛り込む案や、本人の同意に基づいて個人情報を代理機関に預けて活用する案が示された。