写真1●理事長の菅原瑞夫氏
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写真2●会長の都倉俊一氏
写真2●会長の都倉俊一氏
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 日本音楽著作権協会(JASRAC)は2015年5月20日に定例会見を開催し、2014年度の事業について報告した。

 JASRACの2014年度における使用料等徴収額は1124億9483万3336円(前年度比1.5%増)と前年度並みになった。2014年度の使用料等徴収額について、理事長の菅原瑞夫氏(写真1)は、「以前から申し上げているが、人々の音楽との接し方はますます多様になっている」「多様な音楽利用に合わせて的確に対応することがJASRACの役割と考えている」と述べた。

 2014年度の実績では、「録音」分野の徴収額が前年度比7%減となった。その一方で、「演奏」分野(前年度比6.8%増)や「複合」分野(同3.1%増)などが伸びたため、総合計額では前年度プラスとなった。

 各分野の内訳の状況を見ると、「演奏」のうち「演奏等」は、コンサート市場の好調やライブハウスや宴会場との契約件数が増加したことなどから、前年度実績を上回った。「放送等」も、テレビを中心に広告収入が堅調だったことから、前年度よりも増えた。

 「複合」分野の項目であるインタラクティブ配信では、「音楽配信」と「動画配信等」で明暗が分かれた。「音楽配信」は曲別課金サービスの縮小が続いており、定額聴き放題サービスが伸びたものの、前年度実績に比べてマイナスとなった。「動画等配信」は、定額見放題サービスや動画投稿(共有)サイトなどが堅調で前年度実績を大きく上回った。

 「録音」分野の「オーディオディスク」や「ビデオグラム」は、CDやビデオソフトの生産実績が減少を続けていることから、前年度実績を下回った。パチンコ機器での利用も大きく減少している。

 2014年度の取り組みの成果も報告した。例えばJASRACの請求・分配に関する業務の効率化を進めた結果、2015年度に適用する「インタラクティブ配信」の管理手数料実施料率について、11%から10%への引き下げを実現した。利用楽曲がJASRAC管理楽曲かを選定する際のJASRACの人的作業を、著作権情報集中処理機構(CDC)との連携によって軽減するなどして、料率の引き下げを実現した。

 このほかに、楽曲を利用する放送事業者からの利用楽曲報告件数についても述べた。2014年度の報告件数は1198万件(前年度比98万件増)となった。全曲報告を行っている放送局は、2015年3月末現在で、民放地上放送局(193社228局)のうち184社212局(割合は95.3%、 93.0%)である。

「任期中に権利保護期間延長問題の解決を」、都倉会長が要望

 今回の会見で会長の都倉俊一氏(写真2)は、「2016年春に会長の任期満了を迎えるので、今回が定例会見での最後の挨拶になる」と述べた。さらに「JASRACは著作権保護期間の延長問題や戦時加算問題を抱えているが、TPP問題のテーブルに乗っており、我々はそれをじれったい思いで見ている」「私の任期中には問題が解決してほしいという願望がある」とした。