米Apple、米Facebook、米Google、米Microsoftをはじめとする米大手IT企業と人権擁護団体およびセキュリティ専門家らは現地時間2015年5月19日、Barack Obama米大統領に公開書簡を送り、セキュリティの弱体化を招く政策を導入しないよう迫った。

 米国では元米中央情報局(CIA)職員のEdward Snowden容疑者が米政府の大規模監視活動を告発して以来、大手技術企業によるプライバシーおよびセキュリティ保護の強化が進められているが、一部の米政府高官はこうした動きに難色を示している。

 米連邦捜査局(FBI)のJames Comey長官は昨年10月の講演で、米国民の安全を維持する上で、技術企業の非協力的な姿勢が捜査を阻んでいると苦言を呈した。同長官はその前月の会見で、プライバシー保護のためにスマートフォン内のユーザーデータを暗号化するAppleやGoogleの取り組みについて「行きすぎだ」と批判したと伝えられている(関連記事:FBI長官、スマホのデータ暗号化にあらためて難色)。

 複数の政府当局者は、政府の要請に応じて顧客のデータを解読できるよう、製品やサービスのセキュリティに抜け穴を作ることを提案しており、米国議会では捜査当局用の“バックドア”のない強固に暗号化した製品を禁止しようという動きもあるという。

 公開書簡では、Obama大統領に対し、米国企業が意図的に製品のセキュリティを脆弱化させなければならないような、いかなる提案も拒否するよう強く呼びかけた。また、ホワイトハウスは強力な暗号化技術の普及を阻害するのではなく、普及を促進するポリシーを策定するべきだとし、そうしたポリシーが米国内外におけるサイバーセキュリティ、経済成長、人権の保護と向上につながると述べている。

 公開書簡には、140以上の技術企業に加え、数十にのぼる人権擁護団体などの市民社会組織、60人のセキュリティ専門家と政策専門家が署名している(米New York Timesの報道)。

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